7月の茶道稽古では、「洗い茶巾」の点前が見られます。
これは、平茶碗に水を八分目程湛え、そこに斜めに畳んだ茶巾を浮かべて茶席に持ち出すもので、点前中にその茶巾を絞るときの水の滴る音が何とも風流な趣向です。
茶道裏千家では、十三世の円能斎が考案された点前です。
他の流派でも、同じような点前があるのでしょうか?
そういえば、こんな話しを思い出します。
近江の地を治めていた瀬田掃部(かもん)、秀吉に仕えた利休七哲の一人ですが、
畳十五目程の平高麗茶碗を所有しておりました。
利休が「その茶碗を琵琶湖に見立てて、何か楽しませて下さい」と(たぶん)茶席で云われたので、
瀬田掃部は、茶巾に水を浸し、爽やかに客前で茶巾を絞ってみせたとか云々
この時代の茶の湯の、発想が自由で楽しげである様子が浮かんできます。
利休に「銘を付けて下さい」とお願いすると”水海”と名付けられたそうです。
ところで、この平高麗茶碗・・・畳十五目というと22cm程もあるのですから、今時の茶杓(18〜19cm)では乗るワケがありません。
茶杓はこれに合わせて長いものが添えられていたそうで、
利休から「茶杓の銘は?」と問われ、
琵琶湖から注ぎ出る唯一の川に架かる”瀬田の唐橋”にからめ、
”勢多”と答えたそうです。
話しが出来過ぎている!?
さて、我が家にも高麗の平茶碗があります。
畳十五目とはゆきませんが、畳十二目あります。
7月の都筑民家園の月釜でつかおうかと思ったのですが、
「平茶碗は濃茶には使わない」のだそうです。
銘も”あみがさ”だし、
梅雨も明けてしまうようだし
だめかな・・・・

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