一昨日の朝、会社に向かうとき、新橋駅の構内の片隅に弱りきった鳩が一羽うずくまっていた。羽根もだらりとしていて、可哀想にもう死んでしまっているのかなと思って通り過ぎようとした瞬間、小首がくるっと180度回転してこちらをじっとみつめた。思わず目があって、あっ、と思ったが、人通りが多い通りで立ち止まることもできず、そのまま駅の構外に出ざるを得なかった。
おそらくもうすぐ死んでしまうだろうけど、どこか少しでも緑のあるところにでも連れて行ってあげたいと思った。駅の雑踏の中で息を引き取るのはあまりにもかわいそうだ。
しかしどうすることもできず、その時以来小首を回転させてこちらをみつめた鳩の顔が忘れられなくて仕方が無い。
助けようはなかっただろうが、助けたかった。
夜の繁華街の全般をあさる鳩が増えている。その多くが怪我をしていてカラスの餌食になったりもしている。なんでこんな人の雑踏の中で繁殖するのか。せめて神社の境内で一生を送って欲しい。息を引き取る前に一度でも手の中で温めてあげたかった。

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