全集第23巻P51
信仰の秘訣
大正5年(1916年)12月10日
「聖書之研究」197号
弥陀(みだ)たのむ人は雨夜(あまよ)の月なれや
雲晴れねども西へこそ行け
これは仏教信者の歌である。しかしながら、深い信仰の実験を語る言葉である。福音的キリスト教の実験もまた、これに異ならないのである。
救主に頼む人は、その信頼によって救われるのである。問題の解決を待つ必要はないのである。また心の洗浄を認める必要はないのである。
信頼そのものが、救拯(すくい)の唯一の条件であり、理由であり、また根拠であるのである。信じれば救われる。無知そのまま、罪そのままで救われる。そして信じる結果として、迷霧は徐々に晴れ、罪は徐々に除かれるのである。
先ず第一に信仰、第二に信仰、第三に信仰、そして終りまで信仰。そして信仰が進むに従って、知識も進み、行為も改まるのである。
ただし、信仰は無学と罪行とを顧みないのである。ただ上を仰いで進むのである。この秘訣が解って始めてキリスト教が解るのである。信仰的態度の一事においては、福音的キリスト教と浄土門の仏教とは、その揆(き
:やり方、方法)を一にするのである。
(旅人注)
「浄土門」については、 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%84%E5%9C%9F%E6%95%99 を参考のこと。また日本の仏教については、 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%BB%8F%E6%95%99 を参考のこと。
完