マキノ雅弘監督の'61年作品『江戸っ子肌』をスカパーの東映チャンネルで見ました。
加賀鳶の打ち上げで、芸者の子いな(淡島千景)から女物のキセルを持っているのを責められ、母の形見だと言い張る小頭の吉五郎(大川橋蔵)。おもん(桜町弘子)に目をつけた加賀藩の向井の殿様は、彼女を強引に屋敷に連れ込み、おもんと一緒にいた髪結いのおりんは子いなの兄の浪人・扇十郎(山形勲)に助けを求め、二人は屋敷に行きますが、屋敷の門番に追い返されます。そこへ現れた吉五郎は同じ加賀の家来として、自分が片をつけると言い、おもんを無事向井の屋敷から救い出します。妹のおもんの危機を知らされた鳶の「は組」の小頭の次郎吉(黒川弥太郎)は妹を救いに向かう途中、「は組」とは昔ながらに仲の悪い加賀鳶の吉五郎がおもんと一緒なのを見て、最初は誤解しますが、気風のいい吉五郎と別れると、おもんに「惚れるなよ」と言います。
翌日吉五郎にお礼を言いに行ったおもんでしたが、そこへ向井の家来が現れると、吉五郎は仲間の助蔵(堺駿二)におりんを預けて、彼らに同行します。おりんを助け出したことを向井の屋敷で詰問される吉五郎でしたが、加賀藩の家来という点では向井も自分も同じだと言い張り、向井の家来に額を斬られると向井の家来らとの乱闘となります。そこへ半鐘の音が鳴り響き、吉五郎は一旦戦いを中断し、家に戻ると、おもんは自分のために傷を負った吉五郎に増々気持ちが傾きます。そして、おもんに半纏を着せてもらった吉五郎は火事場に急行し、そこで燃える家の屋根の上で「まとい」を振る次郎吉を助けます。
「は組」の者を助けたことを頭に叱られた吉五郎は、おもんとも別れろと言われます。悩む吉五郎を慰める助蔵。次郎吉もおもんに吉五郎のことはあきらめろと言います。吉五郎がおもんに惚れてると知り、兄の家で酔う子いな。吉五郎のことをあきらめきれないというおもんに、次郎吉は、吉五郎と結婚するまでは敷居をまたぐなと言って兄妹の縁を切り、吉五郎の元へおもんを送り出してやります。向井の家来に再び路上で襲われたおもんを助けた扇十郎は、おもんを吉五郎の家へ行かせまいとして、自分の家に招きますが、子いなはおもんの気持ちを思んばかって泣き、おもんも恋のせつなさに泣きます。
そんな中、芝居が初日を迎え、子いなは、そこに来た吉五郎をおもんに引き合わせ、おもんが次郎吉から兄妹の縁を切られたことを知らせますが、吉五郎は男の義理を理由に立ち去ります。芝居が終わった後、引かれた幕の提供者が加賀鳶か「は組」かで両者の間でケンカとなり、そこに現れた組長の仲裁で手打ちとなりますが、ケンカの理由が自分だと思い込んだおもんは身投げをしようとし、向井の息のかかった宿屋に連れられて来ます。手打ち式で「は組」の者からおもんを返せと言われた吉五郎は、自分はおもんの申し出を断ったと言った上で、加賀鳶の小頭の半纏を頭に返上して、その場を去ると、次郎吉が親分に妹の恋を実らせてやりたいと訴え出ます。一方、向井の毒牙におもんがかかろうとしていることを知ったおりんは、扇十郎と子いなへそれを知らせ、扇十郎は現場に急行し、子いなは次郎吉の訪問を受けていた吉五郎にそれを知らせ、吉五郎と次郎吉も現場に急行しようとしますが、突然半鐘が鳴りだし、吉五郎は次郎吉を火事場へ送り出し、自分だけがおりんの救出へ向かいます。扇十郎と吉五郎は駆けつけた向井の家来たちと乱闘となり、その中で後から駆けつけた子いなが斬られます。向井らは途中で逃げ出しますが、子いなはおもんとおりんの腕の中で息を引き取り、吉五郎から預かっていたキセルをおもんに渡します。そんな中、一緒に火事を消し止めた加賀鳶と「は組」の人たちが帰ってくるのでした。
愁嘆場がやたらに多く、淡島千景の演技もちょっとやり過ぎの感じでしたが、凛とした桜町弘子の姿が印象に残った映画でした。
→Nature Life(
http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)

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