■あずみ■ なんつっても初っ端とラストで引き締めたから文句つけらんないよ。まずせっかくの10人力をわざわざ5人に減らしちゃうって贅沢の極み。一組は向き合わずしていきなり決着ついたのも良い(当然そうなるべし、と沈黙のひととき観てる方は念じていただけに)。そしてラストの科白ね、この作品を決定的に傑作に押し上げたのは。「おれたちは死なない。生き抜くんだ」ふーんそうなの、と思ったらそのあと「――みんなといっしょに」。そういうことですかー、と感心。堂々アフォリズムになってるじゃん! むろん真ん中も全編いろんな仕掛けがあって十分楽しめて、そう、女性差別を利用してすんなり殿様に近づいて不意討ち喰らわせたりだね、女の子は刀なんか持っちゃダメっ、てお節介な横槍が長めに入ったりだね(アイドル映画の義務としてひたすら上戸彩に着物を着せにゃならんかったんですよーって正直さが好感持てまして)、忍びどうしの対決もどうせ引き分けだろと思ってたら意外にもこっちサイドのが負けちゃったりだね。こっちサイドの面々の死に方ったらそれぞれ個性的だったしな(じつは死んでねーよってのもいてくれたし)。でも惜しいことになぜだか皆さん科白が素人臭いのね。肝心のほら、むこうサイドで一番強いの、えーと美女丸だっけ、ほとんど喋んないくせにヘッタクソなセリフ。けっこういろいろ出てる俳優なんでしょ、どうしてあんなヘタなのか。役柄間違ってるのか。その他全般演技もいまいちで、上戸彩は見ようによっちゃシャープにも見える顔立ちなのになーんかボーッとして人格感じさせず物足りないし、アクションは矢倉のあたりはよかったけどおおかた血しぶきでごまかしてる感じだし、とまァ細かい不満挙げてきゃキリないにせよ、なんだかんだ言ってごくごく面白い映画でしたさ。さっきも言ったけど冒頭と結末が光ってるのでかなり高レベルの印象で着地成功です。
■あずみ2■ あ〜……、こんなんじゃ作らないほうがよかったね、2は……。夜盗の巣で女の切実さもない刺客否定の言葉(あのね刺客ってのは一般民衆は殺さないの)にあずみたち意味もなく動揺するし、へらへら追いすがる金角銀角らが妙にうっとーしーし、ウロウロ逃げ回ってるだけの天海爺さんったらジャマッケこの上ないし、キャラクターが死ぬたびにいちいち長えー余韻やるなよってうんざりだし、だいたいラストはなんなの、まるで変哲のないチャンバラのあげくああも緊張感皆無なヘナチョコ勢揃いは? 勘兵衛と決着つけてなけなしの見せ場で締めくくるはずがろくに出番もなかった幸村なんぞの一言であっさり引いちまうときたし。シラけまくったとしか言いようが。せめて科白が良くなってりゃあねえ、頼みの科白すら前作以下でした。ま、あえて見ごたえあった場面つったらナガラがコズエに殺されるとこと、ツチグモ(だっけ、名前)との戦いでの糸の動きと(片っ端から竹を斬っちゃえばすんなり解決ってのは見ててすぐわかっちゃうんだよね、実際てきめんにあずみも気づいてそれやって勝ったわけだけど。散々もったいぶったわりにゃおそまつな忍術使いだったこと……)、あと平凡ながらブーメランがオモロい胴体切断CG(もっとやってよ!)ですかね。しかしまあ、仲間がほとんど死んじゃったあとの続編だからつまんないのも当り前だったな、と呟いておこう。まさか『3』なんか作んないよね、よもや。

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