2011/9/17

民主主義の終末現象?  

 民主主義の終末現象?

 長年教職に携わってきた私は、 個人攻撃・人格批判というのは体質に合わないのだが、 正直の所大阪府に橋下知事が登場してからというもの、 常に彼に違和感を感じてきた。
もちろん会ったこともないし、 どちらもよく知らないのだが、 昨年の6月、『独裁者』という本を書いた鹿児島阿久根市長とよく似たタイプの人間かな、 という印象を持ってきた。

 なぜか自信満々で、 怖い物なしの若者が、 マスコミのムードに乗って当選するや、 もう言いたい放題、 やりたい放題・・・。 そんな彼に拍手喝采を送る府民が少なからずいるというのだから、 『またか・・・』と、 私はしらけムードに包まれてばかり。 かつてお笑い芸人を知事に当選させた大阪府民。 多分、 京都や兵庫ならこんな不思議な現象は起こるまい。

 何も大阪府民を詰(なじ)っている訳ではない。 芸人や橋下知事が当選する大阪独特の政治風土があるのかもしれないし、 それまでの政治に不満や絶望を感じるそれなりの理由があったのかもしれないが、 それにしても、 教育問題然りで、 これまでの橋下知事の政治姿勢や見解に相容れないものを強く感じてきた私だ。 政治家としてよりも、 人間としてのやさしさや謙虚さが感じられないのだ。

 今朝の神戸新聞2面の『随筆』欄。 神戸女学院大学名誉教授の内田 樹氏が『強いられた政治的意見』と題する短文を書かれている。 やんわりと紳士的に橋下知事を批判した文章だが、 その行間から、 彼の激しい怒りが伝わってくる名文である。

 曰く、『橋下大阪府知事は、 持論である大阪都構想に賛成の市職員を抜擢し、 反対する市職員を降格するためのリスト作りを維新の会所属の大阪市議に指示した。 
 首長選への立候補に意欲を示す者が選挙に先立って公約への賛否を自治体職員の「踏絵」にするというのは異例の事態である。』

 『異例の事態』どころか、 こんな事が許されていいはずがない。 もっとも法には抵触しないのかもしれない(彼は弁護士だから)が、 まだ市長になっていない者が市職員に自分の公約を押し付け『賛否を迫る』というのは越権行為もはなはだしい。

 国家の総理然り、 地方自治体も、 昨今の閉塞状況を打破していくために、 卓越した識見と強力なリーダーシップを兼ね備えたカリスマ的指導者の到来を多くの国民も期待しているが、 断じて『裸の王様』や『暴君』を登場を願ってはいないはずだ。 民主主義の何たるかをきちんと理解していない人でないと困る。 議会も、 市民も、 自治体職員も困るのだ。

 私は元教師だから言うのだが、 戦後の日本国憲法や教育基本法のもとでの『政治と教育』の関係が基礎から分かっていないような御仁が首長になられると、 教育は死んでしまう。

 2年前、 民主党が政権を取った時、 『政治主導』を旗印にして政治を行おうとしたが、 失敗した。 中央官庁の官僚や職員たちも、 行政のプロとして長年仕事をしてきた人たちだ。 その彼らを上から顎で使うような手法で政治家が十分な仕事が出来る訳がない。 行政マンたちの長年の知恵や創意・工夫を存分に引き出して初めて大臣も仕事ができるというものだ。

 古来『暴君』は、イエスマン作りに精を出し、 挙句、倒される。 『奢れる者久しからず。 盛者必衰の理をあらわす。』のが、 私たちが歴史から学ぶ教訓のはずだ。 
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