2012/10/17

貧困な精神  社会問題

 貧困な精神

 サッカーの日本代表チームがフランスチームと当地で対戦し、 1−0で日本チームが勝った。 これまで一度も負けたことのなかった日本チームに敗れたことで、 フランス人はショックを受け、 深くプライドを傷つけられたようだ。

 その腹いせなのか、 フランスの国営テレビの番組で、 人気コメンテーターが、 日本チームのゴールキーパーで、 ヨーロッパ(フランス?)のプロチームでも活躍しているゴールキーパーの川島選手を揶揄する発言をし、 聴衆の笑いを誘った。

 川島選手は福島県の出身。 大震災後、 多忙な中にも何度も現地を訪問しては、 子どもたちを励まし続けている、 人間的にも心根のやさしいスポーツマンだ。 そんな彼に対してコメンテーターは、 4つの腕を持った合成写真を作成し、 福島原発被害と関係づけるようなコメントを連発したのだ。 面白おかしく話す彼に拍手喝采する聴衆の姿もテレビは映し出していた。

 何と程度の低い番組だ、 と思うと同時に無性に腹が立ってきた。 そして『貧困な精神』という言葉が脳裏を横切る。 私が若い頃ちょくちょく購読した、 朝日新聞記者・本多勝一氏の評論集のタイトルである。

 一方、 3人の教え子の顔も頭に浮かんできていた。 長い教師生活の中で、 腹の底からの人間的な怒りをこめてぶん殴った3人の子どもたちだ。 もちろん『学校教育法 第11条』で、 体罰は禁止されているのは百も承知の上だが、 人間として許せなかったのだ。

 人間の行為で何が悪いかといって、 本人にはどうしようもない環境からくる深い悲しみに対して、 無神経にもあざ笑ったり、 いじめたりすることだ、 と私は思っている。

 俗にいう『弱い物いじめ』となって現れるこれらの行為を、 私は問題行動の第一に置いて、 子どもたちに関わってきたつもりだ。 むしろハンディを背負いながら生きている仲間を支えていくのが人間的な自然な行為だ、 という思いを子どもたちは学んでくれたろうか。

 放映したのがフランス国営放送というのも驚きだ。 放送局の精神のレベルが如実に浮彫にされた。 翌日、 放送局は公式に謝罪のコメントを発表したそうだが、 当のコメンテーターの謝罪はない。 『冗談で』という文言もあったようだ。 これも精神のレベルが推し量られる。

 若い頃愛読したフランス文学とは、 ほど遠い世界だ。 フランス人は、 この国営放送局の番組によって、 全世界に恥をかかされたことを知らなければならない。 
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