2005/10/9

皇帝ティートの慈悲  世界の首脳に観てほしい  公演情報

 《皇帝ティトの慈悲》そのココロは? ひとことではいえないけれど・・
明日、明後日、東京藝術大学では、藝大オペラ定期第51回として、モーツァルトの『皇帝ティトの慈悲』を上演します。藝大オペラ定期は、沢山のスタッフや関係者のエネルギーを結集し、次代を担う若い出演者たちの輝かしい未来への扉を拓く記念すべき公演です。これまでもここから沢山のアーティストたちが世界に巣立ってゆきました。
モーツァルトのオペラの中でも《ティト》はよくご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、なかなかの作品です。掛け値なしで本当に奥が深い!琴線にふれ魂に響くその魅力をぜひ多くの皆様に感じてほしいと思います。
その藝大《ティト》のゲネラル・プローベ(総稽古)を観ながら、私はあらためて5月にハンブルクで観た『皇帝ティトの慈悲』の公演に思いを馳せていました。

 東京二期会は来年4月にハンブルク歌劇場と共同制作でペーター・コンヴィチュニー演出『皇帝ティトの慈悲』を上演するのです。春のハンブルクのプレミエ公演の後、演出家のコンヴィチュニー氏と『ティト』についていろいろ話してきたのですが、そのときコンヴィチュニー氏の言った言葉を反芻しながら、またいろいろなことを考え、発見したような気がします。

コンヴィチュニー演出《ティト》は死にかけたハートに効果覿面。
きっとご覧になる皆さんの心に、消えてしまったと思っていた熱い血潮を蘇らせることでしょう。さまざまなダメージを受けて弱っているように見える近代社会や、仮面をつけて自己防衛せざるをえない現代人の心にカンフル剤のように沁みてくると思います。

ぜひ世界中の首脳にこのオペラを観てほしい。

コンヴィチュニーのやり方は、極上の気楽なエンターテインメントかと思わせて、いつしかすっかり私たちを戦略に嵌め、作品にひきずり込み、観終わった後に「ああ、やられた!降参だ」と嬉しい悲鳴をあげさせるのです。
気づいた時にはもはやコンヴィチュニーというキューピッドの矢にすっかり射抜かれてしまっている。その驚き、その意外性。その充実感は格別です。

私たち同様に悩みを抱える等身大のティトがそこには居る。
迷いつつ苦しみつつ「もうひとつ心臓があれば・・」と願ったであろう青二才で迷い多き為政者ティトが、成長しアダルトチルドレンではなくなる瞬間や変化をあれだけ嫌味なく自然に見せててしまうコンヴィチュニーの才能には正直驚かされます。

オペラは退屈ではない。オペラは真実を語るもの。
もしも「オペラってなんだかよくわからなかったし、退屈だったけれど高尚だったことにしておこう。だって高い入場料も払ったし・・」と納得しようとしている貴方。その考えはきっと間違いです。そのことを確認するために観てほしい。
コンヴィチュニー氏の優しい笑顔に隠されたさりげないひたすらの情熱と強烈な意思。
その渾身の演出に巻き込まれ息を呑めば、「オペラ」がまだ老いぼれていなどいず、ちゃんと生きていたことを実感し、オペラの未来に希望を感じることができると思うのです。

古代ローマも現代も人間社会にはいろいろなトラブルがつきもので、為政者・権力者というのは沢山の責任を負い、陰謀や裏切りの渦に巻き込まれ不自由も多いことでしょう。コンヴィチュニー演出のティトにも「ああ、もうひとつ心臓がほしい!」と思うような悩みが沢山あるのです。

ティトが自分の使命を自覚し、真の為政者として成長する過程を心臓移植のパロディーなどでわかりやすく見せながらも、決してどたばたにはならず、感動がこみ上げてきました。
コンヴィチュニー氏の手にかかるとティトが本当に魅力に溢れて劇場の中からこちら側へと飛び出してくるのが印象的でした。他の登場人物ともども古代ローマの遠い人間としてではなく、鋼鉄の心臓など持たぬ、柔らかいハートを持った男として描かれました。   それが私には演出を通じて常に社会に自分の考えやメッセージを発信しながら、天才演出家としての名声を極めたコンヴィチュニー氏自身の姿にも思えたのです。
この作品はコンヴィチュニー氏にとって、とても大切なものなのだということが感じられたのです。そうそう「ぜひミスター小泉純一郎にも観に来るように伝えてほしい」とことづかりましたっけ。
4月の東京公演には日本の政財界のつわものたちにも大勢いらして頂いて、感想を伺ってみたいものですね。 



☆藝大オペラ定期第51回
W.A.モーツァルト 皇帝ティートの慈悲 全二幕(原語上演/字幕スーパー付)
日時 : 2005年10月9日(日)
2005年10月10日(月・祝)
13:30開場
14:00開演
会場 : 東京芸術大学奏楽堂(大学構内)
入場料 : 2,400円(全席自由)

主催 : 東京芸術大学音楽学部
藝大オペラプロジェクト実行委員会

指揮 : 高関 健
演出 : 直井研二
出演 : 東京芸術大学大学院音楽研究科声楽専攻生
東京芸術大学音楽学部オペラ研究部
オーケストラ : 東京芸術大学音楽学部管弦楽研究部
合唱 : 声楽科学部3年生(オペラ実習T履修生)
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