2013/2/5

2013年立春  公演情報

昨夜二期会のホームページに3月16日(土)二期会ゴールデンコンサートの紹介ページが完成したと事務所から連絡がありました。モネ劇場との公演を懐かしく思い出します。
http://www.nikikai21.net/golden60/bari_bass.html

「曲への想い」を提出した際、つい長く書きすぎた原稿をここに記しておきます。

また、2月1日の誕生日に祝ってくださった皆さん、どうも有難う!
高野フルーツパーラーのショートケーキもおいしくいただきました。


多田羅 迪夫  Tatara Michio
ワーグナー『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より  
第2幕第3場
      ハンス・ザックスのモノローグ「リラの花の何と かぐわしく」
“Was duftet doch der Flieder”from Oper《Die Meistersinger von Nürnberg 》2.Aufzug,


◆ ドイツ・オペラにおけるバス・バリトンにとって、非常に魅力的ではあるけれども同時に、群を抜いて長大な役であるだけでなく、その人間的魅力を表現する上で超難役といわれる役の一つがこのハンス・ザックス役です。このオペラはワーグナーのオペラ作品の中では唯一の喜劇です。神話の登場人物などではなく、ヨーロッパ近世の市井の人間感情の機微を描いた世話物とも言うべき場面を含む喜劇です。
さて私にとって、このオペラはとても縁が深いのです。  
まず、私がヨーロッパから帰国して初めてNHKニューイヤー・オペラコンサートに出場させて頂いたとき歌ったのがハンス・ザックスの、最終演説「マイスター達を軽蔑してはならない」でした。その後も、ニューイヤーでは、この「リラのモノローグ」をはじめ「迷妄のモノローグ」を歌わせて頂きました。
そしてとうとう靴屋の親方ハンス・ザックス役を全曲通して演じる事が出来たのは、二期会50周年記念公演(ベルギー国立モネ劇場との共同制作。会場:東京文化会館大ホール)でした。
◆ 近世初期の帝国都市ニュルンベルクでは手工業の親方(マイスター)達が、自らの職人としての腕もさることながら、詩作と歌唱技術を自らの教養として課した時代がありました。マイスター達は自らの工房に職人と徒弟を働かせながら、手工業の技術と同時に、歌の道も教えたわけです。そのマイスター達の中でもハンス・ザックスは実在の人物であり、詩集だけでなく、特にM.ルターに共鳴し数々の著作を残しています。彼は史実上でも愛妻に先立たれ、男やもめになった一時期がありましたが、亡妻への哀惜の想いを綴った著作も残していて、細やかな愛情に満ちた結婚生活であったことが伺えることからも、人間的に愛情あふれた人格者であったと思われます。再婚後にも、彼は愛を歌った叙情詩を数多く著しています。
◆ワーグナーの「マイスタージンガー」の中でのハンス・ザックスは、男もめでありながら卓越した詩人として周囲から一目置かれている靴屋の親方として描かれています。金細工師で同じマイスタージンガー仲間であるポーグナーのうら若くも美しい娘エファを可愛がっていましたが、そのエファが突如現れた若い騎士ヴァルターと愛し合う仲となっている事をいち早く察知し、エファへの求婚者を決める歌合戦に挑戦するに際しマイスタージンガー資格試験に合格するように手助けすることによって、彼らを晴れて結婚できるようにしてやります。騎士ヴァルターの詩が規則に合わない部分が在るにせよ優れた詩人であることを評価できるのは、ザックス自身が独創性を見抜く事の出来る真の芸術家であるからこそです。
五感をほぐすリラの香りの中でザックスがエファへの想いを断ち切 り、騎士ワルターの詩人としての才能を正当に評価することによって、エファとの仲を応援する気になるという、このオペラの物語にとって大きな転換点となる、非常に人間的な愛を感じさせるモノローグです。



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