今日は歯科巡回で被災地へ。
新潟県歯科医師会がコーディネートしている企画で、先日掲載したように、市内の2つの歯科大学と歯科衛生士会などが協力しておこなっているものです。
日本歯科大学の歯科医3名、同大や衛生士会の衛生士さんたちなどと朝7時50分に集合、現地へ。打合せを済ませた後、何箇所か避難所を回りました。高齢者の口腔ケアが中心です。
地震発生当初より随分と避難所の人数も少なくなっていましたが、場所によってはまだまだ大変な状態でした。歯ブラシや歯磨き粉も、場所によっては大量に余っているところもあれば、別の場所では「いただいていいんですか」と大変喜ばれたところも。
おばあちゃんたちの入れ歯を衛生士さんがきれいにしてあげて、その間に僕ら歯科医は口腔内をきれいにしたりいろいろお話を聞いたり。

↑衛生士さんが寝たきりのおばあちゃんのお口をケア 足の方もマッサージのボランティア。「足から頭のてっぺんまでらっくりで気持ちいいなあ」

↑小千谷総合体育館の一室で。入れ歯と口の中をきれいにしたあと。「すっきりした」と喜んでおられました。
震災時にこのような歯科巡回で高齢者のお口の中の状態がある程度わかったわけですが、程度の差はあれ、実は平時でもこのようなニーズはあるかもしれない、と地元で開業している同級生が言っていました。定点の医院にはなかなか行けないし、わざわざ訪問診療を頼むほどでもないが、入れ歯などこまごました悩みは少なくありません。
また、口腔内の汚染状況と誤嚥性肺炎との強い因果関係が指摘されており、口腔内を健康に保つことは、肺や気道にとってもよいことで、予防医学的にも意義のあることと言えると思います。
さて、自衛隊のテント数十張りが建てられている避難所には各テントに2人から3人までの世帯が暮らしていらっしゃいます。僕らがその場所へ行ったときにはちょうど雨も降り、気温も急に下がり、長引くテント生活の大変さがほんの少しわかった気がします。
テントの場所から水道のあるところまでは数十メートルほどなんですが、足腰が悪くなかなか洗面所へ行けず、口の中も不潔になりがち。
最後に行ったところは、老夫婦がテントで暮らし、腰の悪いおばあちゃんのために特殊なベッドなども入れているため、3人は寝られず(そうでなくてもそう広いスペースではなく、家財道具はほとんど置けません)、息子さんはやむなく未だに車中泊を続けているとの事。
全壊・半壊住宅への補助は、確かになかなか限界もありますが、いっそお年寄りを対象にした公営住宅などの建設も検討すべきなのでは、と思っています。デイサービスとか医療施設なども一体型のものなどが造れれば、効果的。公金で支援した個人住宅は改修や改築を公的機関ではできませんが、公営住宅なら将来的な活用・再利用や改修・改築なども公的予算でおこなえるし・・。
医療人として入ると、またいろいろ違った点が見えた一日でした。

0