福島原発事故による避難者への支援策は、各自治体の姿勢によって異なります。
この問題について「フェミニスト議員連盟」からの要請で同機関紙に寄稿しました。
避難者支援策への自治体の関わりについてまとめているので、読んでいただけたら幸いです。
↓PDFファイルは用意できなかったのでテキスト中身は下の方に貼り付けておきます(タイトル含め、一部少し修正しています)
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地域によって異なる避難者支援策−自治体と議員の役割
中山均(新潟市議・福島原発震災情報連絡センター共同代表)
福島原発事故から3年以上が経過しましたが、原発事故被災者を支援するために2012年に制定された「原発事故子ども・被災者支援法」(以下「支援法」)の具体化は一向に進んでいません。支援法ばかりでなく、「災害救助法」などの既存の法体系や「原発事故避難者特例法」なども被災者のニーズに十分応えるものとなっておらず、多くの人々が見通しの立たない生活を強いられています。
ここでは、「福島原発震災情報連絡センター」や私自身の調査・分析を整理して、福島からの県外避難者への自治体の支援策の現状と課題について簡単に報告します。
まず、避難元自治体によって避難先での生活条件は大きく異なります。例えば「原発避難者特例法」(以下「特例法」)は、自主避難者も含め、避難先自治体の保育園や入学など各種手続きを簡素化するための特例法ですが、特例法の対象自治体は、いわき市や南相馬市など13自治体で、比較的多くの避難者を出している郡山市や福島市などなどは対象地域となっていません。これは法律の制定過程で国が指定から外したわけではなく、自治体側の意向によるものでした。自治体が市民を現地に留め置き、避難を抑制しようとしているとも言えるのです。また、避難先の各自治体が独自に行なっている避難者支援策の中には、この特例法の対象地域を対象者として準用しているケースもあるので、問題は法で定めたよりも広い範囲に及んでいます。
また、避難先自治体の支援策も千差万別であることもあらためてわかりました。例えば、避難者支援策としての国の補助制度がいくつかありますが、比較的多くの避難者を抱えている自治体でもこれを活用していないところがあります。活用している多くの自治体も、国からの補助制度が終了すると同時に支援策を終了していますが、中には単費で同様の制度を維持しようとしている自治体もあります。
さらに、上下水道の減免をはじめ自治体で独自にさまざまな支援策を展開しているところもありますが、その対象者の範囲については、避難指示区域出身者に限ったり、場合によっては自主避難も含めるなど、それぞれ対応が異なります。
これらはほんの一端ですが、自治体の姿勢が避難者の生活を大きく左右するのです。その意味では、自治議員である私たちの役割も重要です。例えば、「震災瓦礫の焼却を『検討』するだけで復興予算が交付された」として多方面から批判された堺市では、議会での質疑を経て、市長が汚名挽回とばかりに避難者支援の基金を設立、現在は他の自治体と比べても手厚い支援策を展開しています。新潟市でも、私を含め議員側からの働きかけにより、国の補助制度廃止後の支援策の継続や民間の保養プロジェクトへの資金補助が実現しています。
一方、避難者支援策についてどこに問い合わせればよいかわからない自治体もありました。また、こうした情報は各地域で十分に周知・整理されてはおらず、国でも把握していません。各地の情報を整理し公表することで、自治体の支援策の拡充を促すとともに、そこから見えてくる国の法制度・施策の不備や不十分さを明らかにすることにもつながると考えています。近々中間的な整理を公表する予定です。
問い合わせは nakayama@jca.apc.orgまで

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