いよいよ、頂上に向けて登ります。
登りながら、岩角山に屹立する巨石の信仰について考えました。
山の斜面や平場に露呈・屹立し、畳み重なる巨石を見ると、そこには陰と陽があるように思えます。
胎内くぐりなどのように合わさる巨石は陰、単独で屹立する巨石は陽。
陰と陽という表現がマイナスとプラスに感じて不適切だとすれば、女性と男性に比喩しても良いかと思いますが、そこには縄文時代以来のアニミズム的またはトーテミズム的な信仰を考えてしまいます。
自然の造形を男女の性に比喩して信仰することは、原始時代における豊饒多産の願いに通じ、きわめてプリミティヴな本能的な信仰です。
岩角山が山岳寺院という霊場に成り得た背景には、おそらく、もちろん文字としての記録にはありませんが、原始時代からのプリミティヴな信仰の歴史があったことと思います。
巨石には神の魂が宿るという、巨石信仰は世界的に認められます。
日本でもいたる所にあるし、
岩角山もその例外ではないと実感いたしました。
花崗岩に刻まれた線刻仏を拝観しながら、ゆっくりと登りました。
ここは、観音様お詣りの札所にもなっています。
それゆえ、観音様の線刻仏が多いです。
千手観音様。
龕の形に彫り窪めた中に肉彫的に刻まれた千手観音様。
肉彫仏は数少ないです。
風神・雷神と名付けられた杉の巨木。
岩角山にはこのような杉の大木・巨木が多く、鬱蒼とした雰囲気です。
千手観音様。
蓮台の上に立たれたお姿です。
厳しいお顔の線刻仏様。
千手観音様蓮台坐像。
准胝観音様、だと思います。
観音様は、様々なお姿となられます。
観音様のお姿の変化を良くあらわしています。
岩角山の中腹には、座禅石が。
平たい石の上で僧侶が座禅したそうです。
このように並び屹立する花崗岩にも線刻仏が刻まれています。
中腹にはこのように幾多の巨石がございます。
如意輪観音様を祀った那智堂です。
那智観音堂は柱や壁・垂木などが朱塗りされ、美しいです。
やはり、優れた彫刻が巡っています。
肉彫された准胝観音様の像。
いよいよ、岩角山頂上の奥の院です。
阿弥陀堂は鎌倉時代の建築ということで、覆い屋で保護されています。
鐘突堂もありました。
岩角山頂上の風景。
見晴台から、安達太良の本当の空を眺めることができました。
紺碧の青空です。
くぐると願いがかなうという、胎内くぐりの岩です。
僕は、這いつくばれば、くぐれるかな。
下山を始めました。再び肉彫された准胝観音様の像を斜めから拝観しました。
下山路も線刻仏をゆっくり拝観いたしました。
千手観音様の蓮台坐像です。
こちらも千手観音様。
優美な線刻仏です。
素晴らしい線刻仏様の群像に感動いたしました。
この間の月曜日に参拝した岩角山をご紹介するのに3回連載となってしまいましたが、実は、僕は、岩角山で見ていない場所の方がまだ多いのです。
線刻仏だって、半分も拝観していない。
僕は、全山霊場の岩角山の虜になってしまいました。
これから何度も通って参拝したいと思います。
とにかく霊場としての雰囲気と歴史的な魅力が素晴らしいです。
それにしても、808体の線刻仏が刻まれた岩角山のパワーはすごいです。
写真を通して毎晩そのパワーを受け続けると、結構疲れますね。