一昨日、石川町文化財保護審議会の皆さんと、石川町を代表するペグマタイト鉱山の、和久観音山に立ち入り調査してきました。
石川町は、日本でも有数のペグマタイト鉱脈があり、戦前から注目されてきました。
ペグマタイトとは、巨晶花崗岩のことで、石川町のペグマタイトには20種類以上の希少鉱物が含まれています。
日本地質学会は、今年度、福島県を代表する石として、石川町のペグマタイトを選定いたしました。
このことについては、新聞報道でご存知の方も多いと思います。
偶然ですが、石川町教育委員会では、残りの良いペグマタイト鉱体である和久観音山鉱体を、町指定の文化財(天然記念物)として指定するため、僕が所属する石川町文化財保護審議会に諮問してきました。
それで、一昨日の現地調査となりました。
和久観音山鉱体は、ごく普通な農村にあります。
地元保存会の皆様方のご尽力によって、大切に守られてきました。
まず第1鉱体に入りました。
普段は、入り口が施錠されています。
旧坑道には水が溜まっていました。
大きな長石の結晶体、
含まれる鉱物も見られます。
続いて第2鉱体、
オープンで、崖にペグマタイトが露呈しています。
こうやって見ると、
全山、ペグマタイトの山ですね。
そして、注目の、第4鉱体です。
ここでは、
日本最大級の、電気石の結晶が残されていました。
これは貴重です。
そして、
放射性鉱物による変色(ハロ現象)も見られました。
写真上の茶色い部分です。
ここからは、今でも放射線が出ており、5マイクロシーベルトを計測したそうです。
ただし、アルファ線なので、身体に影響はほとんどありません。
石川町のペグマタイトには、ウランやトリウムなどの放射性鉱物が含まれていることが知られていました。
有名な「石川石」も、放射性鉱物です。
戦時中は、大日本帝国陸軍の命令で、ウラン鉱の採掘に、学法石川の生徒たちが動員されたそうです。でも、採掘量がわずかで、そのうち終戦となりました。
日本が核兵器を開発できなかったことが、不幸中の幸いでしたね。
貴重な石川町のペグマタイト、
これからは、大切な自然誌資料として役目を果たしてほしいと願っています。
石川町文化財保護審議会としては、
和久観音山鉱体を町指定の文化財(天然記念物)として指定することに「可」とする答申をいたしました。