今日の午後、テレビをつけたら、栃木県那須町の那須岳で雪崩が起き、春山登山訓練に行っていた栃木県立大田原高校の山岳部員たちが遭難したとのニュースを放送していました。
僕は、毎日、東北線宝積寺駅から新白河駅まで通勤していますが、大田原高校の生徒は、西那須野駅で下車して通学しています。
先月は大田原市に行ったばっかりで、とにかく、無事に救出されることを願わざるを得ませんでした。
一昨日も、仕事を終えて新白河駅から乗車したら、那須山登山から帰ってきたと思われる登山装備の人々が多く乗っていました。
顔が雪焼けしていたので、雪山登山帰りだと分かりました。
今の時期、春山とはいえ、実際は冬山なのです。
特に3月は、冬に降り積もった雪の表面が凍結して滑りやすくなっています。その上に春の新雪が降り積もったら、表層雪崩が起きやすくなります。
1月〜2月に山に積もった雪の表面は、3月になると朝の放射冷却で氷結し、例えば、安達太良連峰の野地から鬼面山に至る稜線などは、長靴で気軽に歩けるほど雪の表面が固く氷結するのです。ほんと、長靴で歩けます。そのことを雪の表面がクラストすると言います。そこに新たに春雪が降り積もりますと、クラストした面から新雪積雪が滑って表層雪崩となるのです。だから、山岳の3月の雪は怖いのです。
僕も、平成14年の2月に、安達太良連峰の鬼面山から箕輪山にかけての稜線の雪山斜面を登ったことがありました。
当時、元気だった僕は、雪崩の恐怖も感じないで、写真のような斜面を、どこまでもラッセルして登りました。
すると、
ブナ林の向こうに、稜線の頂部が見えてきましたが、
そこには、
写真のように、雪庇が形成されていて、とても頂部に登るには危険な姿でした。
何か怖くなって、ここで下山を始めました。
何年か後、高山の原生林を守る会の観察会で、Sさんからお話をお聞きしたところ、ここの稜線は雪崩の巣らしく、雪崩の跡は、樹木が倒されて開いているので分かるとのこと。とても危険な場所だったそうです。
上の写真の雪庇が崩壊したら、もろに雪崩発生です。
分からないこととはいえ、僕もよく雪崩に巻き込まれなかったと、それからは、この稜線を冬に登ることはありませんでした。
とにかく、今の時期は、雪崩が起きやすいです。
とにかく、那須岳で遭難した大田原高校山岳部員の無事を祈るばかりです。
そして、今の時期の登山は、できれば避けていただきたいです。
ほんとうに積雪の状態が不安定ですから。