2016/8/13

東京→渋峠→直江津チャレンジ・・・シングルギアーの限界、いや己の限界  自転車/マラソン
 




■ 東京 → 直江津 1Day ライドにチャレンジ ■


自転車乗りの勝手イベントに「東京から直江津まで自走する」という勝手企画が在ります。距離はおよそ300Km コースは問いません。一泊しても構いませんし、脚力に自信のある人は1日で走り切る事も可能。

一番楽なコースは高崎まで国道17号、そこから18号で直江津に至るルートで、獲得標高も1700m程度ですから山岳ライドというよりは普通のロングライド。これではいつもの房総半島300Kmの方が獲得標高が上回ってしまいます。

そこでルートラボでもう少し山岳ライドの醍醐味を味わえるルートを探してみると「東京→渋峠→直江津」というコースを見つけました。獲得標高は3500mを超える山岳グランフォンドです。

渋峠は草津から白根山を超えた先にある峠で標高は2172m。これは国内の国道の最高地点となります。多くの方は吾妻線の長野原草津口駅まで輪行して、そこから草津温泉を経由して渋峠を目指します。

登攀開始の標高が630m位ですから標高差1500m超え。富士山のスバルラインより標高差は在りますが登りの平均斜度は6.4%程度。距離は長いですが、登り易く、森林限界以上の雄大な高山の景色が堪能できる自転車乗りには人気のコースです。

箱根の国道1号線の登りを2回か・・・うーん、ギアー付きだと登れて徒然で達成感が少ないかも・・・。ここはやっぱりシングルギアーの出番でしょう。高山は夏でも涼しいし、これなら真夏のヒルクライムもOK。

1日で走り切って直江津で電車に乗って東京に戻るには、遅くとも19時には直江津に到着する必要が有りますが、平地なら何ら問題無い時間です。観光三昧でも余裕。

しかし、総獲得標高3500m超えとなると、最悪は途中で日が暮れてどこかの宿に飛び込む事考えなければなりません。携帯の予備バッテリーやパンクした時の交換チューブも2本は持ちたい。携帯ポンプも・・・。そう考えると、いつもの様にバックパック無しとは行きません。

いつもはジョギング用のバックパックを使っていますが、真夏は背中の放熱が出来ないので使っていません。そこで今回は先に「自分にご褒美」で自転車用のバックパックを購入しました。出来るだけ小さい方が背中の放熱を妨げないので、小ぶりのバックをチョイス。

■ 真夏だけどちょっと涼しそうだ ■

決行はお盆の真ん中、8月12日としました。

一応目標は1日で走破なので、12日の深夜、12:17に浦安を出発しました。夜間走行は苦手ですが、エンドの時間から逆算するとなるべく早く出発した方が良いでしょう。途中、熊谷など「酷暑」で有名な地帯を通過するので、早朝に関東平野を抜けてしまうのがベターと判断します。

夜中の国道は大型トラックが多いのですが、お盆という事もあって道は比較的すいています。本郷から春日通りに入ります。この道はそのまま川越街道となって埼玉方面に伸びて行きます。

都内の区間は信号だらけでSTOP & GO の繰り返し。埼玉に入ると信号は減って走り易くなりますが、信号と一緒に街灯も減って暗くなります。大光量のLEDランプが活躍します。

川越まで50kmを走って1回目のコンビニ休憩。15分で道路に復帰して、真っ暗な川越街道を熊谷方面に北上します。森林公園を過ぎた辺りでようやく東の空が白んで来ました。5時ちょっと前に熊谷到着。83km走りました。ここで朝食も兼ねて少し眺めの休憩を取って、今度は国道17号線で高崎をめざします。

実は、出発前「遠足前の子供症候群」に掛ってしまい練れませんでした。2時間弱うとうとしただけで、後は目が冴えてしまってガメラの記事なんて書いてしまいました。

だから、熊谷から眠くて眠くて・・・ここは「歌う」しかありません。マクロスFのサントラを頭からインストナンバーも含めて思いっきり歌います!!朝の散歩のオッサンがビックリして振り返りますが、大丈夫。「旅の恥はかき捨て」デス!!

これで結構気分が上がって、スピードに乗ります。高崎到着は7時少し前でしたが、メータ読みのAV24.4km/hで到着。夜間はのんびり走っていたので、復活してからはほぼ全開走行。これで目も完璧に覚めました。

空は曇天。さっきパラっと顔に何滴か雨粒を感じたので、気温も上がらず最高の夏ライド日和です。

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■ ひたすらダラダラと登りが続く ■

高崎からは国道406号線で草津を目指します。この道「フルーツ街道」と呼ばれるだけあって観光客向けの果物の即売所が並んでいます。

道は一貫して登り基調で1%から2%の斜度が延々続きます。この程度の登りは適度な負荷でシングルギアーにとっては走り易い。

だんだんと道の両側に古い家屋が増えて来ました。豪雪地帯なのでガッチリとした造りです。

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晴れていれば榛名山が見えるはずですが、本日は曇りで眺望は効きません。道の両サイドは「中途半端な田舎」の景色が続いて飽きて来た頃、烏川を道が渡り眺望が開けます。

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正面には本来は榛名山が望めるはずですが・・・。

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しばらく進むと、ようやく道は山間へと入って行きます。

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美味しそうな和牛が・・・

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傾斜も少しずつ急になり、棚田の風景が広がります。

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道の駅があったので、少し寄り道。

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新選な朝採り野菜は、そのまま塩を振って食べたらきっと美味しいに違いない。
それにしても、ゴボウの横にあるのは・・・何?

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アイスを食べてクールダウンしました。ついでに「乾燥梅干し」もGET。原料は梅と食塩のみ。これ探していたんですよね。コンビニに置いてある「男梅」は添加物の味しかしないので。

実は、この後、この乾燥梅に救われる事になるのですが・・この時の私は知る由も無く・・。

倉淵町は国道沿いに花を植える活動をしているらしく、休耕田や空き地にグラジオラスなど夏の花が咲き乱れています。時間があれば自転車を降りて散策したい。

田んぼの縁に咲くオニユリが見事でした。

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■ 本格的な山道が始まった ■

民家が途切れると道は傾斜を強め、山の中へと入って行きます。所々斜度6%を超える坂が現れます。9時を過ぎると気温はグングンと上昇し始めます。体中から汗が吹き出してきます。

小さな峠を一つ越えると道は下りになり、温川(ぬるかわ)につきあたります。

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これを左折すると・・・異様な岩肌が民家の背後に姿を現します。火山性の堆積層を温川が寝食して出来た崖だと思うのですが、今にも崩れそうでちょっと怖い・・・。

この山は岩櫃山というそうで、南側は200mを超える高さの絶壁が連なっています。安山岩と溶岩で出来た山で、吾妻八景のひとつで群馬県の景勝地です。


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この辺りから空が晴れ渡り、気温もぐんぐんと上昇を始めました。30度を超えているかも知れません。

ボトルが空になったので自動販売機を探します。田圃の用水の水はそのまま飲めそうな透明度ですが・・・。

ようやく見つけた自販機でコーラとスポーツドリンクを補給。ふと見るとバケツの中でクワガタが動いています。メスは既に死んでいましたが、オスは生きています。つまみ上げてみるとミヤマクワガタでした。

ミヤマクワガタは日本全土に生息していますが、涼しい環境を好むのである程度の山奥に生息しています。ミヤマとは「深山」の意味。野生の個体を見つけたのは小学生の時以来です。

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■ 暑い・・・クラクラして来た ■

のどかな集落を抜けると道は再び斜度を増します。もうここら辺から暑くて頭がクラクラして来ました。先ほど買った「干梅」をいくつも口に頬張って塩分を補給します。これが無かったら完全に熱中症でダウンするか、脚が攣って動けなくなっていたでしょう。

斜度は徐々に増し、8%、10%のつづら折れが続く本格的な上りに。3つめか4つめは頑張って登りましたが・・・・これ以上は46t-16tのギアー比2.875では無理。いえ、無理すれば登れますが、この後の草津、渋峠を考えたらここは脚を温存した方が良い。あちらは平均勾配6%程度だから、ここで無駄足を使う事は有りません。・・・と自分を納得させて1Km弱を自転車を押して進みます。(これで完全走破は成らず・・・)

しかし、渋峠をいうラスボスの前にこんな伏兵が居るとは・・・うかつでした。

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■ 心が折れる音が聞こえた・・・ ■

長野原に入る所で峠をピークを迎え下りが始まります。

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本来嬉しいはずの下りですが、私、草津温泉までは登りっ放しだと勝手に考えていました。今超えて来た須賀尾峠の標高は1000mを超えていそうでしたから、後少し登れば草津温泉だと信じていました。

ところが、何と、ここから400mのダウンヒルが始まったのです。下りの爽快感と眼下の景色の素晴らしさとは裏腹に・・・私の心がベキベキと音を立てて折れて行きます。

・・・・又登るのか・・・それも猛暑の中を・・・・。

■ 心が折れると人は頑張れなくなる ■

一気に標高が下がると、そこは猛暑の世界。時間は11時半。予定より1時間遅れています。

巨大な橋を渡ると右手に駅が見えました。吾妻線 上野原草津口駅です。あそこで電車に乗れば帰れる・・・そう考えた瞬間に私のチャレンジは終わってしまったのだと思います。

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ゆるい坂を草津温泉に向けて登り始めましたが・・・駅から遠ざかるという思いが心の底に重りのように積み重なって行きます。

■ 神の御恵み・・・? ■

チェーン装着所で木陰に逃れて、スマホでこの先の情報を収集します。すると、余程私が憔悴して見えたのか、初老のご婦人がガリガリ君のソーダ味を私に差し出すではありませんか。「二つあるから、お一つ如何ですか」。

もう、暑さと絶望で、幻が見えたかと思いました。自転車の神様が自転車乗りの聖なる食べ物、ガリガリ君のソーダ味をめぐんで下さったのだと。

しかし、このご婦人、車でいらしていたみたいで、車の中でガリガリ君をお食べになると、車で立ち去ってしまいました。ご婦人はお一人でしたから、どうしてガリガリ君を2本お買いになったのかは謎ですが。

私はと言えば、こころから感謝の意を述べて、ありがたく天の恵みを頂きました。一生の内で一番美味ガリガリ君でありました。

■ 再度心が折れる・・・ ■

さて、ガリガリ君を頂いたとあっては、草津、いや渋峠まで登るしかありません。

吾妻川を渡ると道は斜度を増して行きます。誰が名づけたか「日本ロマンチック街道」なんて名が付いていますが、今の私には「日本マゾヒック街道」と呼んだ方が相応しい。

多分気温は32度程度でしょうか。斜度は8%を確実に超えています。平均斜度6%程度って・・・そうだよね、平均ならばそれを超える所だって在るのは必定。

滝の様な汗を滴らせながら、重たいペダルを強引に押し込みますが、この先20km以上これが続くのかと・・・ふとそう思った瞬間に路肩で自転車から降りていました。・・・これムリゲーだわぁ・・・。

本来、「2000m超えの峠はダテではありませんでした」とか、「どうにか渋峠を制覇しました」って自転車乗りのブログ記事を読んだ時点で気付よな・・・。難易度は確か「☆☆☆☆」になってた。

平均斜度6.4%に騙されました。これ10%超えも出て来るコースですよね。既に170km走って、ギアー比2.875で挑むのは、ラスボスに短剣一本で勝負する様なもの。せめて気温が低ければどうにかなりますが、30度超えでは直ぐにオーバーヒートしちゃいます。

左膝に違和感も有るので、ここは勇気ある撤退を選択。(その前に無謀なチャレンジでしたが)

■ 浦安ははるか彼方・・・ ■

登り坂は逆に進めば下り坂となります。しかし、なかなか長野原草津口の駅は現れません。こんなに登ったっけかな・・・なんて不安になる頃、ようやく駅に到着。

さっさと輪行袋に自転車を仕舞、駅弁をホームのベンチでペロリと平らげた頃、電話がやって来ました。

オオー、懐かしの湘南電車です。

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電車で座ると一瞬で睡摩が襲って来ます。吾妻線の「いったいいくつ在るとも知れない駅名」のアナウンスを子守唄にして、高崎までグッスリ。

高崎線の鈍行で帰るつもりでしたが、上野までの駅名を目で追って、新幹線にしました。随分と遠くまで来たもんだ・・・・。

夜中に走った道を、時速200kmで一気に戻ります。イヤー、新幹線って本当に速いですよね。



■ シングルギアーの限界、己の限界 ■

かくして50才男の無謀なチャレンジは、無残にも、いや、当然の事ながら失敗に終わりました。

ギアー比2.875のシングルギアーは2km程度の10%超えには耐えられても、延々に続く8%には耐えられない事が分かりました。そして、自分がバカである事も・・・。

来年リベンジをするかと聞かれたら・・・・答えはNOです。

だって、夜中の国道を延々と走る事が8%の坂よりも精神的ダメージが大きいから。40Km走れば山の中、一日走れば3000mを超えられ、冬も路面凍結しない千葉県のありがたみが骨身にしみます。

そして自転車にとってギアーの意味を、再確認しました。(最近、ギアーは要らないのではと思い初めていたので・・・)
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