2017/1/24

アメリカの保護主義への回帰=ドル高・高金利への対策  時事/金融危機
 

■ TPP離脱やNAFTAの修正はより一層の市場の統合をもたらす ■

「アメリカに雇用を取り戻す」「メキシコ国境に壁を築く」といった勇ましい言動と、Twitterによる自動車メーカーのメキシコ工場進出牽制で、トランプは「反グローバリスト」とのイメージが出来あがっている様です。

しかし、彼の政策は「TPPはアメリカ企業の利益が十分に反映されず妥協の産物だから離脱する」「NAFTAはアメリカよりもメキシコやカナダに有利だから修正する」と言っている様に私には聞こえます。

日本をはじめとするTPP加盟国(標的は日本ですが)は、TPPの交渉の過程でガードを外された訳で、そこからさらに妥協を迫られる事は確実です。

カナダやメキシコの企業はのNAFTAのISD条項を使って米国政府を歌えてきます。米国政府は敗れはしていませんが、煩わしいし、米国企業の訴えが棄却されるのも面白く無い。

トランプが選挙戦で「アメリカ人の雇用を取り戻す」と掲げた政策は、微妙に修正されながら、アメリカのグローバル企業にとって有利なカードとなりつつあります。

■ ブレイグジットとNAFTA修正の類似性 ■

イギリスのブレイグジットとトランプのNASTA修正の本質は実は似ています。

イギリスは統合市場EUにアクセスする為にEUに加盟してきましたが、一方でEUのルールにより域内からの労働者の移動を抑止できません。結果的にイギリスは多くの移民を受け入れ、彼らがイギリス人から職を奪う結果となりました。

実はこれはイギリス人の労働者からだけの視点で、イギリス全体やイギリス企業からすれば「安い労働力」を手に入れた、「若い労働人口を確保した」という事になります。

イギリスをはじめとするヨーロッパの先進国は一時期現在の日本と同様の急激な少子高齢化に悩まされ、それが経済発展を阻害していました。さまざまな政府の少子化対策にも関わらず思うように子供は増えず、結局は移民が若い労働力を提供する結果になりました。

アメリカも同様で、アメリカは先進国の中で唯一、若い労働力が増える国ですが、これを支えているのは移民達です。アメリカの白人は戦後のベビーブーマーがリタイアする事で、労働市場あから次第に少なくなりつつあります。

結局EUの移民政策や労働者の移動の自由も、アメリカの移民政策やメキシコからの不法移民の見逃しも、国家や企業の視点からすれば、若い労働力の確保としては有効に機能しています。

そして、十分に若い労働力を確保したから、そろそろ門戸を閉じようか・・・と言うのがイギリスのブレイグジットであり、トランプの登場なのでは?

EU域内でフランスの国民戦線などが選挙に勝てば、彼らは移民問題から最初に修正するでしょう。これに他の国が追随すれば、EUから離脱したり、EUを解体するよりも、移民や労働力の自由な移動に制約を掛けるという方向で修正が起きるはずです。

■ 中国と経済戦争を始めるトランプ政権 ■

アメリカの貧しい白人労働者が敵視しているのはアメリカの貧しい移民です。しかし、トランプ政権はその怒りの矛先を中国に向けようとしています。

実はアメリカの貧しい人達の生活は、安い中国からの輸入品無くしては成り立ちませんが、中国のこれ以上の経済発展は、中国の軍事力の拡大と国際社会での発言力の拡大からアメリカにとって好ましく無い。

冷戦時代はソ連を、近年もロシアを敵視していたアメリカですが、これからは中国を仮想敵国にロックオンするはずです。当然、米中間の軍事的緊張も高まるはず。

そうした中で、米国輸出で中国が経済発展する事は好ましく無い。そこで、中国製品の米国への流入に関税などで制限を掛けると思われます。

第二次大戦後、アメリカからの技術移転で日本の工業はアメリカの脅威となる程成長しましたが、アメリカはバブルの崩壊を仕掛けて日本企業を株式から支配し、利益を得る様になりました。

これと同じ事を中国に仕掛けると考えている方は多いと思いますが、私はむしろ東西冷戦の時の様にアメリカが中国を封じ込め、新たな冷戦構造を構築する可能性が高いのでは無いかと考えています。

敵の存在が国家を結束させ、同盟の絆を深くするからです。貿易交渉で多少不利益があっても、アメリカとの軍事同盟とのバランスで妥協せざるを得なくなります。

■ 軍事的緊張とブロック経済 ■

オバマからトランプへの政権移行は、カーターからレーガンへの政権移行によく似ています。

カターは国際融和路線を掲げ、キャンプデービット合意を実現しています(実際にはすぐに合意は破られますが)。一方で中東外交は弱腰で、彼の任期中にイラン革命が起こり、イラン大使館が占拠され大使館員が人質になります。これに対してカーターは話し合いでの解決に拘り、支持率をどんどん低下させてゆきます。

弱腰のカーターに対して、偉大なアメリカを取り戻すとして選挙で勝利したのがレーガンです。レーガン政権は「強いドル」「強いアメリカ」を旗印にします。

1) 国内の減税を行う一方でインフレ抑制の為に1981年から1985年の間は高金利政策
2) ドルの独歩高が発生し、世界の資金がアメリカに集まる
3) 一方で巨額の貿易赤字、財政赤字が発生する
4) ジャパンバッシングが激化し、日本との貿易協定でアメリカの要求が高まる
5) プラザ合意でドル高が強引に是正されるまでドル高が続く
6) この間、対ソ連政策としてスターウォーズ計画を進める

うーん、まるでデジャヴの様に現在の状況に似ています。ただ仮想敵国がソ連から中国に代わるのでしょう。

■ アメリカの保護主義は、高金利政策への布石では無いか? ■

こう考えると、トランプの保護主義政策は、高金利による輸入超過を牽制している様に思えてなりません。

1) リーマンショック以降、安いドルが世界にばらまかれる
2) 特に新興国金利は高かったので、金利の安いドルが調達通貨となっていた
3) ドルの金利上昇で新興国から一気にアメリカに資金還流が起こる
4) 一時的にアメリカの経済は急激に回復する
5) さらなるドル高、金利高の循環になる
6) アジア通貨危機と同様の状況が発生する

7) ドル高で輸出に不利になる米国企業を、トランプの不平等貿易協定で救済する
8) 輸入関税を掛けて海外製品を牽制し、国内産業を保護する

■ アメリカの独り勝ちとなるのか? ■

ここまでの雑な考察では、「アメリカの独り勝ち」となりそうな気がします。

しかし、グローバル金融やグローバル貿易の時代には、新興国の大規模は経済危機は、世界全体の金融市場に大きな影響を与えます。

そもそも、世界もアメリカ国内の金融機関も、既に金利の低すぎる資産を大量に保有していますから、金利上昇に耐えられる状況にはありません。

「偉大なアメリカ」の夢が膨らみ掛けた所で、アメリカは現実に引き戻されるでしょう。そして、トランプの夢から醒める時、きっと次なる金融危機が発生するはず。

そこらへんをゴールドマン出身のトランプの経済閣僚達がどう料理するのか、楽しみでもあり、怖くもあります。
19

2017/1/25  18:33

投稿者:まさき
いつもありがとうございます。アメリカがロシアとくむのは対中国とisisと両得的です。将来に悲劇を生むのではないでしょうか?

2017/1/25  8:38

投稿者:ゆうこ
今日のエントリー内容は・・私もそう思う事ばかりです

トランプさんは経済音痴ナノか?音痴なふりをして色々やろうとしているように見えますけど
裏で操って居る人の思うようにはいかないでしょうね

経済て生き物だもん

2017/1/25  5:41

投稿者:ローレライ
『破産常習王トランプ』には『クラッシュは折り込み済み』で『ゴルバチョフとプーチン』を一人で自作自演する腹積もりで『ジェットコースター』する可能性大。

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