2019/6/16

本当は怖い、金融庁の報告書・・・消える年金?  時事/金融危機

■ 「年金以外に2000万円の貯蓄が必用」!? ■

国会を騒がせている金融庁の報告書。

「夫婦で95歳まで生きるとすると年金以外に2000万円の貯蓄が必用」という文言だけが一人歩きしています。

先ずは、金融庁のワーキンググループの報告書を見てみましょう。

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書
「高齢社会における資産形成・管理」


問題の箇所はここですね。


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10ページより

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16ページより

1) 厚生労働省の資料で夫65歳、妻60歳の夫婦の月額平均支出は25万円
2) 厚生労働省の資料で夫65歳、妻60歳の夫婦の月額平均年金額は20万円
3) 夫95歳、妻90歳まで生きると30年間に2000万円が必用になる


これ、ちょっと強引ですね。

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3ページより

95歳まで生きる人って25.3%しかいないよ!!
さらに、男性となると、もっと少ない


もう一個突っ込んで良いですか

5万x12か月x30年=1800万円
おい、金融庁、200万円もサバ読んでんじゃネーよ!!


■ 統計の使い方が間違ってるんじゃない? ■

「年金が2000万円足りない」という話だけが一人歩きしていますが、この2000万円の根拠が実のオカシイ。

ようやく年金生活に入った65歳の夫と、60歳の奥さんが、退職金の貯金もあるから、老後を楽しく過ごそうとしたら、年金だけでは足りなくて、家計が5万円赤字になっちゃった。でも良いわよね、健康なのは今のうちだから、旅行もしたいし、美味しいものも食べたいじゃない。

・・・・こんな生活、30年も続けられる訳が無い。

■ 老人ホームや介護費用などが考慮されていない2000万円 ■

実はこの2000万円には、老後の生活で実際的な問題となる老人ホームの入居費用や、介護保険の個人負担の金額は含まれていません。(そう報告書に書いてあります)

しかし、実際の老後にはこれらの資金が必用になるケースも多く、高齢者の貯蓄は増える傾向にあります。

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16ページより

若者の貯蓄が減り続け、高齢者の貯蓄が増え続けています。これ、若者の数が減って、高齢者の数が増え続けるのだから当たり前ですが、経済全体を見れば問題が多い。消費欲旺盛の世代から消費しない高齢者に資産が移転するのだから、経済が活性化する訳が無い。

高齢者は老後懸念される老人ホームや介護保険の負担を子供達に負わせたくないので、年金支給後のしばらくの期間、悠々自適に生活した後は、切り詰めた生活に入り、なるべく退職金を取り崩さずに、さらには年金も貯金するなど、生活防衛に入ります。その結果、貯蓄額が増えるのです。実際に平均で2000万円程度の貯蓄をしていると報告書にはデータが出ています。

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16ページより

■ 実は怖かった金融庁の報告書 ■

色々と脇の甘さの目立つ報告書ですが、実は、様々は恐ろしい未来を提示しています。

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9ページより

上のグラフは「所得代替え率=年金支給額/現役世代の可処分所得」ですが、これが年々減って行く事が分かります。厚生労働省が年金支給額を減らす事が前提となっています。

元となった金融庁の資料には・・恐ろしい文言が書かれています。

○ 寿命の延伸により65歳時点の平均余命は長期化する一方、公的年金の給付水準は今後、マクロ経済 スライドによって調整されていくことが見込まれている。

「マクロ経済スライド」とは何か、厚生労働省の説明を見てみましょう。

「社会全体の公的年金制度を支える力(現役世代の人数)の変化」と「平均余命の伸びに伴う給付費の増加」というマクロでみた給付と負担の変動に応じて、給付水準を自動的に調整する仕組みを導入したのです。この仕組みを「マクロ経済スライド」と呼んでいます。

要は、「年金負担者が減る分だけ、年金支給額を減らして、年金を温存しますよ」という方式。これで100年維持する事が可能になります。(当たり前じゃん!!)

■ 75歳まで働け!! ■

報告書にはさらに恐ろしいデータが並びます。

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10ページより


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11ページより

何と、日本の高齢者の多くが65歳以上まで就労しており、さらに死ぬまで働きたいと思っている・・・。これを逆手に取って「年金75歳支給開始でも良いよね」って言われちゃうよ・・・。

すみません、高齢者の方々、程々にリタイアして下さい。僕ら世代にしわ寄せが来るので・・・



■ 個人の試算運用を進めるパンフレットでした ■

結局、ツッコミ所満載ではありますが、「日本の年金支給額は年々減るから、若いうちから個人の試算運用で、老後の生活を安定させよう」という、金融関係のお仕事の方が中心になって作られたセールスパンフレットでした。

■ 恐ろしのは、個人でも損をして、GPIFでも損をする未来 ■

日本国債の金利がゼロ以下となった事で、日本の資金は国債での安全運用から締め出されました。

1) 個人の資金も市場でリスク運用
2) 年金積立金の市場でリスク運用



さて、問題です。この様な状況で、リーマンショックの様な危機が起きたらどうなるでしょうか・・・。


今後、安倍政権に引導を渡すのは、金融緩和バブルの崩壊となるはずです。GPIFの運用実績の公表が遅れていますが、参議院選挙前には、とても公表出来ない数字となっているのでしょう。

■ 本当の問題は「無駄な長生き問題」 ■

今回の金融庁の報告書は業界お手盛りでお粗末ですが、年金の問題が無くなった訳ではありません。年金お負担者は減り続け、受給者は増え続ける。

現在は厚生年金の積立金がプラスですが、やがてこれを使い切ると、いよいよ年金の支給額の維持が難しくなります。厚生労働省の試算は様々なパターンがあり、積立金運用の金利や、積立金の値上げ、給付年齢に引き上げ等により、予測は様々に変化します。

支給開始年齢を段階的に上げ、70歳を支給開始にする事はほぼ確定で、65歳で定年退職した後に、5年程度は貯金で生活し、その後は年金に頼る事になるのでしょう。貯蓄ゼロ世帯が増えているので、70歳までは働かないといけない人々も多く居るハズです。

年金の問題は平均寿命の延びが大きく影響しています。これは医療財政問題とリンクしています。高齢者に高度医療を安価で施す事が国家にとって得策なのか、そろそろ真剣に討議すべき時期に来ています。儒教の影響が強い日本では、「高齢者は大切にしなければいけない」という考え方に違和感を持ちませんが、欧州諸国では高齢者に高度医療を施して延命する事はしません。

ただ、年金問題も、医療問題も老人が占拠で猛威を振るうシルバーデモクラシーの現在の日本では解決が難しい。それこそ、財政が破綻する様な事態にならなければ改革に着手出来ない事も事実です。




13

2019/6/17  6:34

投稿者:人力
鍛冶屋 さん

その通り、「平均値」のトリックです。保険屋なんかが良く使う手口です。

ただ、この資料は「結論」こそ意図的に間違えていますが、年金を巡り問題点や、高齢化の進行や、認知症の増加の問題など、私達が真剣に考えるべき事を示している事も確かです。

まあ、これだけ話題になっても金融庁にホームページに公開されている、この資料をどれだけの国民が見たかというのが一番の問題で、野党もマスコミも都合の良い所だけを切り取って追及したり、報道したりしています。

結局、年金問題って「年金が危ない」とか「年金だけでは生活できない」というイメージだけが拡大して、「問題の本質は何」かという点がスカっと抜け落ちています。

問題の本質は・・・「無駄な長生き」ですが、これはタブーとされています。日本の最大勢力である高齢者を敵に回しますから。これを、しっかり主張出来る指導者が出て来ない限り、日本は衰退の道を歩む。

「高齢者に無駄な高度医療を施さない」・・・これだけでかなりの部分が解決します。そして、「高福祉国」の多くは既にこれを採用している。

2019/6/17  6:27

投稿者:人力
ハノイの塔 さん

高齢者福祉の理想的な例が北欧諸国ですが、ほぼ無償なので、老後の心配は無いとされます。徹底した「外注」によって成立します。

日本では「高齢の親と同居する」という従来の「福祉」が崩壊したので、「高齢者福祉」に掛かる費用が顕在化したのが、年金問題ですね。

特に、「老人介護」や「入院」という人件費を伴う部分が、「嫁の労働」から、介護施設や病院の職員の労働に変わった事が大きい。

昔は専業出の役割の一つが介護でしがが、現在はそれは「外注」されています。

社会構造が変化したのだから、専業主婦が存在する事自体がオカシイと私は昔から考えています。金持ちならいざ知らず・・・。

そこで問題なのが、配偶者特別控除の存在です。何度か廃止する事も検討されていますが、これが有るから、女性の安いパート労働が供給されているとも言えます。

北欧を見れば分かる通り、子育ても、介護もほぼ外注ですが、実はその労働力は本来主婦であった女性が提供しています。自分の義理の親を無料で介護するか、他人の親を賃金を獲得しながら介護するか・・・。親との関係にも寄りますが、「生き甲斐」として選択するなら、私は後者を選びます。

日本の成長力の低下の原因の一つに、こういった、家庭内介護や育児の様な「金銭に換算されない労働」の存在は大きいと考えます。

ただ、北欧諸国の高齢者医療は非常に限定的です。高い福祉を維持する為には、受益者の数の限定が不可欠だからです。

2019/6/17  6:11

投稿者:人力
一ブログ読者 さん

年金は絶対に破綻しません。給付開始年齢を引き上げ、支給額を減らせば、いくらでも延命できる。これ、世界的な風潮ですから、日本政府だけを責められません。

問題は寿命が延びた事・・・。これを解決しない限り、年金問題は永遠に続く。

2019/6/17  5:09

投稿者:鍛冶屋
MMT的には・・・ウソもう止めときます^^;)。

自分もこの図見た時、”高齢夫婦無職世帯の平均的姿”って、何処でサンプル取ったん?だって。
無職のくせに、事業収入やその他収入ってなんなん?。
支出に家賃が無いのも、持ち家前提でなんでしょ。もうウチら世代は、ブルーカラーの持ち家率メッチャ低いですよ。

しかしまぁなんですなぁ、ついに我々も年金を意識する歳になりましたなぁ。
あと10年、65歳支給開始を維持してくれ〜〜〜その後は知らん。(嫌なタイミングで切り上げられそう)。

2019/6/16  20:34

投稿者:ハノイの塔
人力さん、だまされちゃいけません。
金融庁のデータ、65歳時点で夫婦の平均資産、約2200万円。
ふーん、日本人の半分は2200万円持ってるのか…ではありません!
別のデータによると、60歳を迎える人(結婚してるひとは夫婦)の
平均資産は2900万円(65歳時点よりちょっと多い)
でも2000万円以下のひとは67%(すなわち三分の2もいる!)
なぜこうなるかというと、もうお分かりですね。そう、富裕層の資産が平均値を押し上げている!
だから、日本で2000万円以上の資産を持ってる人は三分の一しかいないのです。
さらに言うと、100万円以下の人がなんと四人に一人! これは結構、大問題ですよ。

2019/6/16  7:20

投稿者:一ブログ読者
>すみません、高齢者の方々、程々にリタイアして下さ
い。僕ら世代にしわ寄せが来るので・・・
どうせそのうちやるんだから、人手不足のうちにさっさと
引き上げてほしいような……と下の世代としては思うので
した。

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