2021/4/9

抑制の美学・・・『スーパーカブ』  アニメ
 

クリックすると元のサイズで表示します
『スーパーカブ』より

■ アニメ熱が冷めている ■

最近、アニメが面白くない・・・。

家内と一緒にや『無職転生』や『五等分の花嫁』を楽しく観ているにも関わらず・・・。

『蜘蛛ですが、なにか?』は板垣 伸監督の高密度な演出は特筆に値いし、さらに家内がEDの『がんばれクモ子さんのテーマ』を必死で練習しているにも関わらず・・・。


『のんのんびより のんすとっぷ』や『ゆるキャン△』は、「さすがだな〜〜」と感心しきりで、『のんのんびより のんすとっぷ』の10話、11話は「驚愕の出来映え」ではあるにも関わらず・・・。

以前よりエグさがアニメの脚本向きだなと思っていた野島伸司の『ワンダーエッグプライオリティー』は、最近目立って来た実写ドラマの脚本家や、舞台の脚本家のアニメ進出というテーマで語れば面白いにも関わらず・・・。

『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』も同様に他業界からアニメ脚本参入組の面白さが光る作品にも関わらず・・・・。

『無限のリヴァイアス』や『コードギアス』の谷口悟朗監督と、『グレンラガン』や『キルラキル』の脚本の中島かずきのコンビによる『バックアロー』は、期待と裏腹にグダグダな時の富野を模倣する様な作品になってしまっているにも関わらず・・・。

『弱キャラ友崎くん』にガッツリ嵌り、ラノベ全巻を一気読みしてしまい、TVアニメを3回も見直してしまったにもかかわらず・・・。

『ワールドトリガー』にドハマりして、原作大人買いを必死で堪えているにもかかわらず・・・。

アニメがアニメである事に、少し飽きてしまったのかも知れません・・・。


■ 『スーパーカブ』の1話が心に響いた ■

もうアニメでは感動できないのかもしれない・・・。そんな不安を感じている時に『スーパカブ』に出会いました。

彩度を抑えた映像、日常をただスケッチしただけの演出。一見、新海誠の『彼女と彼女の猫』を彷彿とさせますが、煩わしいモノローグによる説明も一切無く、一人暮らしの女子高生の日常が淡々と進行してゆきます。

川面真也監督の『ココロコネクト』の1話冒頭や、『のんのんびより』の1話冒頭にも似ていますが、表現は圧倒的に抑制されています。

女子高生が、学校まで遠いので自転車通学からバイク通学に変えようと思い立ち、バイクショップで中古の1万円のスーパーカブを手に入れます。免許を取って、キックスタートの要領を教わり、家に帰って・・・夜にコンビニにスーパーカブで出かける。そしてガス欠・・・。

ただ、それだけの話を、説明も、モノローグも無く、淡々と描く・・・普通なら作品として成立しないハズなのに、私は強烈な感動に襲われてしまった・・。

20代の頃、ヴィム・ヴェンダースの初期3部作や、サタジット・レイの大地の歌三部作を映画館で見た時と同じ衝撃を55歳のオヤジが受けてしまった。

何も起きていないのに、モニターの中に空気が充満していて、その中で女子高生が生きていると思える・・・生なましさとも違う、ある種の実在感。そして、それが「物語」としてしっかりと1話の中で完結している奇跡。


多分、抑制された色彩は現在の彼女の目を通した風景で、スーパーカブに乗る事で、彼女に世界が広がり、友人が増えるにつれて、世界はカラフルなものに変化してゆくのでしょうが、新海作品の様に美しい景色に依存する事無く、1話を描き切る手腕に、ただただ驚きを禁じ得ません。

物語が動き出すと、「良く出来たアニメ」に収まってしまうと思いますが、この1話だけは「映画の最良の遺伝子」をアニメが引き継げる事を実証するという意味において、私の記憶に刻み込まれました。


監督の藤井俊郎、あまりネットにも情報は在りませんが、注目です!!


アニメ『スーパカブ』PV


2

2021/4/20  23:40

投稿者:QZaw55cn4c
人力さん

あらためて本作をご紹介いただきありがとうございます、
人力さんのリファーがなかったら私はこの作品を見ていな
かったでしょう‥‥

2021/4/10  1:46

投稿者:人力
QZaw55cn4c さん

ドビッシーの曲名、思い出せなくて「ノクターン」だっ
たかな?なんて気になっていました。ありがとうござい
ます。

アラームを止めたら音楽も止まるとか、細かな所の繊細
な気配りが、音楽に限らず、あらゆるシーンから感じら
れる1話でした。

後、背景の「彩度」のコントロールが素晴らしい。バイ
クが絡まないシーンは彩度が徹底的に低く、バイクに乗
ると彩度が上る。

現実をフィルムに転写するだけの実写と異なり、アニメ
は1フレーム1フレーム、1から作り上げるので、「映
像作品」としての拘りが実写とはレベルが違いますよ
ね。それが良い形で現れた作品が私は好きです。

原恵一の『カラフル』の夕日の屋上のシーンなどもスゴ
イですよね。アニメは「完全演出」が可能だと思ってい
ます。これが私がアニメに拘る理由です。

2021/4/9  20:46

投稿者:QZaw55cn4c
アニメ本論とは関係ないのですが、この「スーパーカ
ブ」の音楽と映像のマッチングは計算しつくされていま
すね。
音楽はドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」、この音楽
の前半は p(ピアノ・弱音)の音楽、ひたすらピアノ、
楽譜にもピアノの中で微妙に揺らすけれども、それでも
ピアノ。ところが 19 小節目からは音楽の指示「すこし
だけだけれども活き活きとし出せ‥‥」、アニメ画面で
は「HONDA スーパーカブ」の絵が!
こういう音楽と絵の絶妙なシンクロは野見祐二氏しか出
来ない技だと思っていました、とても感心しました。

※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く

名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ