2022/1/13
利上げ・・・市場が反応するのは何時? 時事/金融危機
■ 直接給付がインフレを生む ■
アメリカのインフレ率が6%を超えています。この原因は、コロナ禍でバラまかれた直接給付です。
アメリカも日本同様、リーマンショック後ににFRBが量的緩和を続けていますが、国債やMBSなどを購入した資金は資産市場に投資さる傾向が強かった。これらの資金が債券市場を通して不動産市場を支えているので、アメリカの住宅価格はバブル化しています。
量的緩和の結果、アメリカの貧富の差は広がり、結果的には個人消費は伸びず、インフレ率も低迷していた。ところが、コロナの直接給付は貧乏人にも等しく配られたので、これが一気に消費に向かい、アメリカのインフレ率がピョンと跳ね上がった。
日本は直接給付の規模がアメリカよりも小さく、何故か日本人はそれを預金してしまったので、インフレは主に輸入価格の上昇によって発生しています。アメリカのインフレ率が高まった結果、日米金利差が拡大して円安傾向になるので、輸入コストはさらに拡大しています。
現在世界が注目しているのは、このインフレに持続性が有るかどうかです。市場は短期的にはインフレが続くと予測していますが、コロナが収束して金融が引き締めに転じると消費が低迷してインフレ率も落ち着くと見ています。
■ インフレ率の上昇は緩和縮小を読義なくさせる ■
リーマンショック後に資産市場を支えて来たのは「安い短期金利」です。投資は長短金利差を掠め取る行為でもあるので、短期金利が極端に低い量的緩和下で、市場は拡大を続けて来ました。
しかし、アメリカでインフレ率の上昇がこれ以上続くと、短期金利が上昇し始めて、市場は縮小に転じます。
FRBは量的緩和の縮小や、利上げを示唆して、市場の過熱を抑えていますが、緩和縮小は市場を崩壊させるトリガーになるので、「縮小しちゃうよ・・するよ・・・本当にしちゃうよ・・・」と言いながら、なかなか縮小に踏み切れない。
仮に金利を0.25%引き上げたとしても、その裏ではこっそり資産規模を拡大しながらバランスを取るでしょう。ただそれも、インフレ率次第。インフレ率の上昇が止まらない様ならば、FRBは今年4回の利上げに追い込まれるかも知れません。これに市場がどう反応するか・・・。
前回の利上げは2019年に1.75%で頓挫した(確か・・・)。しかし、実際には2018年には、FRBは資産売却のテーパリングを2018年半ばに停止しており、その後はこっそり資産購入に切り替えています。
今回の利上げで市場がどこで反応するかは私には分かりませんが、金利だけでなく、FRBの資産購入にも注意が必要かも知れません。
