2012/9/3

あまりにも時代を先取り過ぎたアニメ・・・「地球少女アルジュナ」  アニメ
 


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『地球少女アルジュナ』


■ アニメなんて大人が見るもんじゃない!! ■


「アニメなんて大人が見るもんじゃない!」
そうお思いの方も多いと思います。

確かに普段、私がこのブログで紹介している現在放映されているアニメは、
大人が見るには、いささか幼稚でオタクな作品ばかりです。

だからと言って、それらが文化的に無意味かと言えば、
子供達の気持や、時代の雰囲気を
「大人の文化」よりも端的に表現している作品も多くある事も事実です。

一方、世界に目を向ければ、「日本はアニメの国」という見方が広がっています。
欧米人はアニメは子供の文化という意識は日本よりも強く、
「ジャパニメーション」に憧れを抱くのは、若い世代か、余程の文化通に限られます。

ひと昔前、「禅」に熱中する欧米人が多く居ましたが、
日本人の自分よりも、ビジネス相手の欧米人の方が、
日本文化に造詣が深いなんて経験をされた方も多いのではないでしょうか?

今後は、「ジャパニメーション」に憧れて育った世代が成長して
確実にビジネスシーンにデビューして来るに至り、
「日本のアニメを知っている事」がビジネスで有利に働くような事も起こるのではないでしょうか。

そんなバカナとお思いでしょうが、
空手有段者のプーチンの国のロシアでは「空手熱」が盛り上がっており、
日本人ビジネスマンは、当然空手が出来るものと思われているとか、いないとか・・。
空手が出来る事が、ロシアではビジネスで役立つのです。

もし、あなたが海外の若者と仕事をする時に、
相手が日本の代表的アニメのタイトルを幾つか上げて感想を求めたら
あなたはどうするでしょうか?
「アニメなんて、子供かオタクしか見ないよ」と、
そこで話題を打ち切ってしまうでしょうか・・・。
しかし、それでは相手にとって、「お前はオタクだ」と言っている様で、
とても失礼なのではないでしょうか?

(かなり無理のある設定ではありますが・・・)

■ 大人の鑑賞に堪えるアニメ作品 ■

『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』以来、
アニメなんて、子供と見たジブリやディズニー作品しか見ていない大人は、
現在の日本のアニメの何を見たらいいのか、さっぱり分かりません。

確かに「ワンピース」や「NARUTO」や「キャプテン翼」などは昔から海外で人気ですが、
これは、子供達が見ているので、大人が熱く語っても・・・的な所もあります。

「大人の鑑賞に堪えるアニメ」を幾つか紹介したいと思います。

先ず筆頭に上げられるのは、、
「押井守」の『攻殻機動隊』シリーズや、『パトレイバー』の劇場版でしょう。
これらの作品を見れば、50代の方でも
「あれ、日本のアニメってスゴイじゃないか」と見識を新たにされると思います。

ここら辺の作品は海外でも人気がありますから、
きっと相手とも話しが合うはずです。

さらに海外でも人気のある作品としては
「カウボウイ・ビバップ」という作品も見逃せません。
少し古くなりますが、「AKIRA」などもテッパンでしょう。


■ 『地球少女アルジュナ』という隠し玉 ■

ビジネスには隠し玉が必要です。

「エ、そんな作品があるの?」と相手に興味を持たせ、
そして、相手が見たとしても、決して失望しないアニメは何か?

私ならば『地球少女アルジュナ』をお薦めします。

『マクロス・フロンティア』の「河森正治」「菅野よう子」のコンビが、
2001年に作った、TVアニメです。

普通の女子高生の有吉 樹奈(ありよし じゅな)は
恋人のバイクに二人乗りして事故に逢い、死亡します。
ところが、彼女は、地球を救う事を条件に、生き返ります。

彼女は「時の化身」として、地球の自然を脅かす存在のラージャと戦うのです。

「時の化身」も「ラージャ」も多分に宗教的抽象概念です。
画面では「魔物」の様に描かれる「ラージャ」ですが、
実際には、不法廃棄物であったり、農薬であったり、
遺伝子組み換え作物であったり、原発であたりします。

「時の化身」として「樹奈」が戦うのは、
地球が抱える環境問題そのものなのです。

人々には、「原発事故」であったり「食中毒」や「伝染病」として認識される自称は、
実は「ラージャ」が引き起こしている・・・これがこの物語の根幹です。

実は、私も先日契約したバンダイチャンネルで見出したばかりなので、
未だ7話までしか見ていませんが、
一話、一話に見ごたえがあり、とても一気に全話見る事など出来ません。

■ 「福島原発事故」を予見したかの様な1話、2話 ■

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原発事故シーンの制御室・・・『地球少女アルジュナ』

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決死の覚悟でバルブの開放を試みる所長・・・『地球少女アルジュナ』


『地球少女アルジュナ』で驚愕するのは、1話、2話の原発事故です。
まるで、福島原発事故を予見していたかの様な映像が続きます。

「ラージャ」による送電線の事故により冷却系が故障します。
システムトラブルで、バックアップ電源も作動しません。

緊急炉心冷却装置は、配管の破断により作動出来ません。

結局、所長が職員を全員退去させた後、
単身で配管の破断箇所のバルブを調整しに、原子炉内に入ってゆきます。

援護に駆けつけた隊員と所長との会話が
今の私達には、胸に突き刺さります。

隊員 「でも、原子炉はリスクが大きすぎるわ。
    それに、建設コストや核廃棄物の保管を含めれば、ほとんど採算が取れない。」
   「現に欧米では原発の建設を中止したり廃止したりする国がある。」

所長 「キミに言われなくても分かている!」
   「15年、たった15年前に、
    バブル弾ける前の、この国が一番豊だと言われた頃の電力消費量に戻すだけで、
    原発を一つ残らず無くせるのに・・・・」

隊員 「それとも真夏の2週間、冷房を我慢するか・・、
    でも、たったそれだけに事が私達には出来ない・・・。」

所長 「だから、俺たちがせめて安全だけでも守らなければ!」



・・・これこそが、日本のアニメの真髄です。
福島原発事故の11年前も、あたかも未来を予見したかの様な作品が作られる。

原発問題に限らず、環境問題、遺伝子組み換え作物問題など、
現在、社会問題化している様々げ問題に、
10年以上も前に作られた作品が、これ程までに自覚的なのです。

そして、残念な事に、この作品は商業的は失敗しています。
「早過ぎた」名作とも言えますが、
きっと、現在放映されても、この重たいテーマの数々を
アニメを観る様な世代は受け入れる事が出来ないでしょう。


■ 「菅野よう子」のサントラは絶品 ■

何故だかこの作品のサントラCDだけは、私はずい分前から持っています。
近所の西友で「菅野よう子」の作品を探したら、
「ターンAガンダム」と「カウボウイ・ビバップ」と「アルジュナ」があったのです。

この時代の「菅野よう子」の作品は絶品です。
何というか、躊躇が無いというか、
あふれ出るアイデアに突き動かされるような楽曲が目白押しです。

「アルジュナ」のサントラを、私は映像未見のまま、随分と聴いてきましたが、
プログレッシブ・ロックの現在のあるべき姿を示す名作です。

さらに、坂本真綾が歌う「マメシバ」も、今聴くと良い曲です。
(当時はアニソンを嫌いだったので、ボーカルトラックはほとんど聴きませんでしたが)

■ 今でこそ再評価されるべき、隠れた問題作 ■

アニメをエンタテーメントと捉えた場合、
『地球少女アルジュナ』が名作と言えるかどうかは微妙です。

問題の提示がストレートで、登場人物の描写がリアルなので、
作品の世界にのめり込んで鑑賞する事は出来ません。

所謂、「萌え」的な鑑賞とは、対極にある作品です。
その点、押井作品にも通じるものもあります。
尤も、押井作品が支持されるのは「軍隊萌え」という別の「萌え」要素にあるのですが。

ですから、『地球少女アルジュナ』は名作というよりは「問題作」と定義出来ます。
ただ、子供向けと思われがちな「アニメ」というジャンルが、
真正面から社会問題を扱い得るという事を、見事に証明した作品と言えます。

外国人とアニメを語る時、「隠し玉」としてポケットに忍ばせるのには
最適な作品とも言えます。


・・・あ!!でも相手がアメリカ人の場合はご注意を。
ましてや、穀物メジャーの社員の方だったりした、激怒間違い無しです!!



54

2018/4/18  18:31

投稿者:人力
拍手コメントに頂いたコメント

拍手コメントのコメントは非公開ですが、紹介させて頂きます。

「震災の前より地球少女を見ていましたので、3.11の後でアルジュナを思い出しました。人の力では、どうしょうもない事が起きてしまった。あの場面のようにと。原発事故の場所は違えど、未来への警告だっだのでしょう。そう思います。人は自分の頭で考えれば危険とわかるものも、マスコミや他人の情報に流されがちです。判断が鈍る、津波がきても地震が起きても皆といれば安心と思いたい。でも見直そう。命の大切さや安全な食事と健康でよりよく生き残るために、このアニメは、もっと知ってもらうべきだ。そして水や空気は生き物に欠かせないもの、場所をかえ形を変え繋がっている。川の水を加工して飲み水として利用している事が多いです。が、しかしごみ処理場は山の上に作る事が多いです。ニュースにもなりますがこの事は皆で考えましょう。以前より地球少女アルジュナが流行らなかったとはいえ大人がみても考えさせられるアニメなので絶やさずに伝えよう。あなただけでなく感じ取ってくれる人はいます。まだ世界は変えられます。と思う。それとこの作品、私もこの音楽好きです。とりあえず皆に流行ったからよい作品それ以外は粗悪品ではなく、今後埋もれた作品から伝えるべきもの選んで残すそして鑑賞することが必要かと。商売で儲かる作品以外でも未来に残すものがおるはず。よい作品を伝えてください。おすすめはターンAガンダム、好きなものはガンダムウイングです。嫌いなものは批判しかしない人たち。
では、これにて」

様々な方が,様々な思いでアニメをご覧になられている。日本のアニメは成熟した文化と言って差し支え無いでしょう。

2015/6/16  2:08

投稿者:人力
ハノイの塔 さん

アニメ業界の国際競争力は低賃金が支えていると思いま
す。かつて韓国や中国への外注でクオリティーの低下し
たジャパニメーション(死語?)ですが、国内での低コ
ストの製作体制が現在のクォリティーを支えています。

補助金は競争力を低下させこそすれ、強化する事は出来
ないのではないでしょうか。

ただ、あまりの低賃金で離職する若者も後を絶たず、彼
らが安定した生活を送れる様に、地方にアニメ制作ムラ
を作るなんてのは意外に効果が出るかも知れませんね。

PAworksとか、京アニなど地方の製作会社が地方から公
費品質の作品を生み続けています。ネット環境の向上が
こうした地方分業を加速するかも知れません。

2015/6/12  17:26

投稿者:ハノイの塔
アルジェナで原発事故が語られていたとは。(すっかり忘れていました。マメシバは覚えているのですが)
 残念ながら、今だったら絶対にTV放映されませんね。
 ヤマト2199でも地球が放射能汚染されていた設定はなくなり、コスモクリーナーの設定も滅茶苦茶になっていました。

本文中の「日本はアニメの国」ですが、日本の産業の中で世界と競って勝てるのは、アニメ産業だけ、という事実は、ほとんどの国民が気づいていません。
・圧倒的な質の高さ/・世界中で求められている/・代わりに作れる国がない、という点で、自動車も家電も足元にも及びません。
 日本の歌謡曲を歌いたいという外国人はほとんどいませんが、日本のアニソンを歌いたいという外国人は山のようにいます。みんな、その為に日本語を覚えてくれます。(アジアで日本の歌手といったら、アニソン歌手のことです)
 クールジャパンというならアニメ業界にもっと補助金を出して、劣悪な労働環境を何とかして欲しいものですね。(このままでは若手アニメーターが育ちません)

2015/6/12  6:34

投稿者:人力
髭仙人 さま

素的なコメントを頂き感謝しております。

>『自分は世界、世界は自分』という大悟は、全世界の
宗教界で最高のもの

まさにこの作品の根底に流れるテーマですね。現代人は
あまりにも自然から遠ざかってしまった為に「個」が拡
大し過ぎてしまいました。ネット空間の拡大が、さらに
自我を肥大化させる時代に宗教はどう対応するのか興味
深いですね。

「ネットの中にこそ神が居る」なんて時代も訪れるので
しょうか、それとも人は生物として「真理」は不変のも
のなのか・・・・。

いろいろとアニメや漫画の評論も載せています。もし宜
しければおい楽しみ下さい。

2015/6/11  16:37

投稿者:髭仙人
 「地球少女アルジュナ」でネット検索した結果、上位
にヒットしたので、読ませて頂きました。足跡を残して
おきます。

 河森正治作品の例外に漏れず、この作品の敵役もまた
真の敵ではなく、最後には自分と同一視可能な、融和す
べき存在です。環境問題を扱い、地球規模で物事を考え
るように誘導していき、最後には怪物は自身と同じとい
う視点に立って、浄化すべきものとなります。『自分は
世界の一部として生かされている存在であり、自分は世
界であり、世界は自分でもある』という一つの『真
理』を悟る仕掛けになっています。

 私達が生存のために活用している、生命活動を支え
る“情報”には、二種類のものがあります。『知
識』と『真理』です。『知識』は生後学んで身に付ける
情報ですが、『真理』は私達が生まれる前から存在して
います。そのことに“気付いて”“悟る”ことによっ
て、身に付く情報です。たとえば「人を愛する心」とい
ったものは、科学知識のように生後学んで身に付けるモ
ノではなく、生まれた時から自身の内に本能として組み
込まれて存在し、必要に応じて自分の想いに気付いて悟
ることで、使いこなせるようになるものです。
 この作品のなかでは、「自然界に突然放り出されたと
き、自分が食べていいモノが何かすら知らない」という
形で、生命活動を支える情報には、知識の他に真理があ
ることに気付くように導く流れが見て取れます。最終的
には、『自分は地球環境=世界であり、世界(地球)は
自分でもある』という大悟へと視聴者を導く流れが存在
します。こういった情報は、生後知識として学ぶもので
はなく、気付けなければ悟れず身に付かないものなの
で、説話(アニメ)として表現して、その見地へと人を
導く手法が適しています。

 『自分は世界、世界は自分』という大悟は、全世界の
宗教界で最高のものとされ、『一は全、全は一』といっ
た言葉でも語られてきました。作者が真に表現したかっ
たものに、視聴者が気付いて到達できるように、ここに
遺しておきます。

2012/9/9  11:06

投稿者:鍛冶屋
>地方は地方で潜在成長力を有しているのでは無いでしょうか?
それが第一次産業なら、現状ほぼ回復は不可能では?。
農作物の国際価格が上昇したからと言って、国内産に切り替え需要を賄えるれるほど、日本の農業に余力はあるのでしょうか?。工業製品と違い、作物は増産できるまで(出来たとして)何年も・・・下手したら十何年もかかると思います。漁業もしかり、人手を育てるのにかなりの時間が必要でしょう。牧畜・家畜など、到底需要には及ばないでしょう。
また政策だからと言って、その辛い仕事にこれから就く人がいますでしょうか?。

やはりキーは、今後の為替の動向だと思いますが、円安(ドル高)時代は果たして来るのでしょうか?。

2012/9/9  10:00

投稿者:人力
鍛冶屋さん

確かにコメやコムギなど、高率の関税が掛かっていますから、TPPで関税が撤廃されれば、日本の農業は大きな打撃を受けます。

一方で新興国の食料需要は今後飛躍的に増大すると思われます。食肉の消費が増えるだけで、穀物の需給バランスは大きく崩れます。これに、将来的な円安が重なれば、日本国内の食料価格は輸入品を中心の高騰します。

さらには、日本がいつまで経常黒字を維持できるかも、大きな問題となります。外貨が稼げるから輸入が可能なのであって、外貨が流出すれば、現在の様に大量の食料を輸入する事も叶わなくなります。

日本の第一次産業は、高い円の影響で競争力を失っていますが、円のレート如何によっては、輸入品との競争力を取り戻す可能性も少なくありあません。

不確定要素ではありあますが、地方は地方で潜在成長力を有しているのでは無いでしょうか?

2012/9/9  9:43

投稿者:鍛冶屋
>地方の生産性は低いけれども、精神的豊かさがそれを補完する地域
これがまず(都市型人の)幻想ではないでしょうか?。

精神的豊かさとは何ぞや・・・っとなると、現状 ”>従来、地縁、血縁で成り立っていた”コミュティーの安心感・・・馴れ合い(相互援助 または相互監視)的社会があってこそではないですか?。
もしそれが政策として行われても、それは地方に新たなミニ都会を作ろうとする事にはならないでしょうか?。そこに精神的豊かさはありますか?。

自分は、社会が疲弊していけば都市から地方への人口移動が起こるっと言う人力説には、どうも納得出来ないのです。むしろ、さらに安い生活コストを求め、都市部へ人口が集中して行くのでは思います。

現在は、都市と地方は食物・物資の生産地と消費地という関係でかろうじて繋がっていますが、TPPをはじめ世界的物流の自由化がもっともっと進めば、その関係も崩れるでしょうし(・・・もう殆ど崩れていますが)。

2012/9/9  4:56

投稿者:人力
鍛冶屋さん

今後の世界は、持てる者と、持たざる者に二極化して行きます。そのどちらかを選択出来れば良いのでは?

都市部を中心に、効率的な世界と、地方の生産性は低いけれども、精神的豊かさがそれを補完する地域に二分され、国家は全国共通というゼネラルサービスの幻想を捨てる事。

その両者を国民が選択し、さらに途中で選択を変更出来るような、システムを国がバックアップすれば、結構ハッピーな様な気がします。

従来、地縁、血縁で成り立っていたUターンやIターンを、社会システムとして整備出来るかどうかが、今後の社会をアメリカ型の単純な貧富の二極化社会にしてしまうかどうかの分かれ目になるのでは?

2012/9/8  20:12

投稿者:鍛冶屋
何処まで戻れば赦してもらえるんでしょうね?
石油エネルギーを使う前?・・・産業革命前?・・・貨幣経済が出来る前?。


”人類は滅亡しました”を見ていると、現代文明が崩壊するのも
悪く何じゃないかと思えます。
人力さん、田舎に隠居・自給農する時は誘ってくださいね^_-)。

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