山茶花はつばき科であることから落花の模様も椿に似て一瞬にして落ちる。つまり椿科に共通する死のイメージ、斬首のイメージを持っている。それに老いし天使とは老残を晒す、かつてあくがれた者であろうか、我が身であろうか。仙人がかすみを糧にしたように、天使はやがて滅びに向かいつつ山茶花を糧にしている。「糧白き」句割れを入れつつ「ほのほほのかに」と言葉遊びの余裕を見せる。モチーフが重たい時ほど遊びの顔が見えるから愉快だ。ふと思ったのだが「老ひし天使」とは「山川呉服店」の住人ではないだろうか。(「星」21)

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