『英語学習 7つの誤解』
大津 由紀雄(著)
2007年
NHK出版
★★★★☆
生活人新書229。
本書は、NHKラジオ講座『英会話レッツスピーク』(2005年度)のテキストに連載されていた「英語学習 7つの誤解」の内容を元に、単行本として再構成したもの。主な対象読者は、怪しげな英語学習法情報に振り回されがちな英語学習者や、幼い子供に早期英語教育を受けさせるべきか迷っている若い親御さんたち。一般向けに平易に書かれた軽い本で、文字もやや大きめでスイスイ読める。英語学習において何に気をつけるべきかについてまで具体的に書かれているので、英語学習者は必読だと思う。
次から次へと登場する「究極のダイエット法」よろしく、マユツバものの「究極の英語学習法」情報も巷に溢れている。効果のないダイエット法でも(肥満による生命の危機にでも瀕していない限り)試してみることそのものが楽しいものなのかもしれないが、英語学習もそれと同じでいいのだろうか? 著者は、「英語狂想曲」とも言うべき異常事態を少しでも改善するために、そのような事態の存続に寄与しているであろう、外国語学習に関する素人の誤解を解くことを目論んだようだ。
著者の言う「7つの誤解」とは、
・英語学習に英文法は不要である
・英語学習は早く始めるほどよい
・留学すれば英語は確実に身につく
・英語学習は母語を身につけるのと同じ手順で進めるのが効果的である
・英語はネイティブから習うのが効果的である
・英語は外国語の中でもとくに習得しやすい言語である
・英語学習には理想的な、万人に通用する科学的方法がある
本書での著者の主張のほとんどは「母語の獲得と外国語の学習は別もの」という1点さえ抑えておけば当然と思われることばかり。
単におかしな現状や素人の誤解を嘆くだけでなく、どのように英語学習を進めるべきかについてまで踏み込んで書かれているのも本書の特徴。面白いのは、英語の達人として紹介されている13人のアンケートへの回答を読むと、それぞれが自己の英語学習において最も重要だったと見なしている事柄がてんでバラバラであること。英語学習のキモは、自分に適した方法を自分自身で見つけられるか否かにかかっていると見た。
本文210ページ程度。
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Kota's Book Review
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