『覆面ダルホ〜演歌の花道〜』
キム・サンチャン (監督)
キム・ヒョンス (監督)
チャ・テヒョン (主演男優)
イ・ソヨン (女優)
イム・チェム (男優)
2007年制作
2008年公開
★★☆☆☆

『
猟奇的な彼女』(クァク・ジェヨン監督 2001年)、『
永遠の片想い』(イ・ハン監督 2003年)のチャ・テヒョン主演によるコメディー。日本映画『シャ乱Qの演歌の花道』(滝田洋二郎 監督 1997年)のリメーク。オリジナルタイトルも「
복면 달호(ポンミョン タrホ)」=「覆面ダルホ」。英語タイトルは“Highway Star / Mask Dalho”。
「アルバムを出してやる」の一言につられ、バンド仲間を裏切り単身ソウルへ出てきた田舎のハードロック青年。契約先がトロット(
트로트:韓国の演歌)専門の超弱小プロダクションとわかり困惑するも、年下の先輩美人歌手に一目惚れ、嫌々ながらトロット歌手としての第一歩を踏み出すことになってしまう…。

いまやベテランのチャ・テヒョン主演だし、もう少し面白いかと期待していたのだが…。正直期待外れ。オリジナルの日本映画は観ていないが、シャ乱Qが絡んでいることから考えると、「如何にも」な展開を徹底して見せつけるようなパロディ色の強い映画ではないかと思う(ストーリーは若干異なるようだ)。本作は、その徹底振りが弱いような気がする。
劇中何度も「トロットは心の涙だ」「心で感じることのできない人間にはトロットは歌えない」というようなセリフが出てくる。「トロットなんかダサい」とバカにしていた主人公だが(しかも、自分がそのトロットを歌うなんて!)、まさに自分自身のデビュー曲の歌詞そのものの体験(愛し合っているのに、別れなければならない2人…)をして、本物のトロット歌手になっていく。その「トロットの魂(
뽕필(ポンピル))」を体得していく過程がもっと丁寧に描かれていれば、もう少し面白い映画になっていたと思うのだが(それでも星3つが限界か)。

韓国の歌謡曲に「トロット」というジャンルがあることは知っていたが、実際に聴いてみるとまさに日本の演歌そのもの。メロディー、歌詞のテーマ(酒・涙・別れ…)、衣装、等、何もかもそっくりで、演歌との違いと言えば、歌唱中の歌手の身振りが若干大きいことくらいか。この映画の唯一の見所は、チャ・テヒョン演じる「覆面歌手ポンピル」のデビュー曲「二車線の橋(
2 차선 다리(イチャソン タリ))」。これが意外と良い曲だったこと。チャ・テヒョンは歌も上手いし、ハングル字幕があったら絶対一緒に歌ったのに!
今日の一言韓国語は「
록커가 왜 뽕짝을 합니까?(ロッカガ ウェ ポンチャグr ハmニッカ?)」=「ロッカーがどうしてポンチャックをやるんですか」。リズムの速いトロットを「
뽕짝(ポンチャック)」というのだが、トロット全般を卑下した呼び方でもあるようだ。怒っていても社長に対しては「습니다体」でしゃべっているのが印象的。字幕では「俺はロッカーですよ。」と訳されていた。う〜ん、上手い。
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Kota's Movie Review
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