『おなやみジュース』
令丈 ヒロ子(著)
2009年
講談社
★★★☆☆
講談社創業100周年記念企画「15歳の寺子屋」シリーズ中の1冊。人生の先輩に、自分が15歳だった頃を思い出してもらいながら、それぞれの人生論を語ってもらう、という趣旨のようだ。NHK総合テレビの「課外授業 ようこそ先輩」の中学生版みたいな感じ。
悩み多き思春期の中高生を対象読者としたこのシリーズだけあって、本書のテーマはずばり「悩み」。若かりし頃の著者自身を振り返り、悩みの種というものが案外本人にはわからないこと、それが不安の表れであることが多いこと、不安の原因を突き止めたら覚悟を決めるしかないこと、腹を据えて不安の原因と向き合って人は成長していくこと、等をユーモアたっぷりに語る。
さすが、若い(幼い?)読者に人気の作家だけあって、話の進め方がうまい。(高校生の頃の)著者自身の「悩み」の全貌が明らかになるのは本書も後半に入ってからで、著者自身の「自分の本当の悩みの種はこれだったんだ!」という発見の驚きを読者も追体験できるようになっている。実は、著者自身は結構行動力があって、ただただイジイジと悩んでいるタイプではないのではないか、そう考えると「あとは覚悟を決めるだけ」というのも万人に当てはまる話ではないのではないか、と思うのだけど、話の上手さもあり、ついつい著者の語りに惹き込まれてしまいました。
本文90ページ程度。
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Kota's Book Review
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Terai, S. Web Page

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