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『ねえ、今日から算数パズルやらない?』【解答編1】
発行者:水野 健太郎
http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/
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それでは、初級問題を解説します♪
どんな問題だったか、思い出してみてください!
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問題(初級)の解答・解説
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川の片方の岸に、お母さんトラと3頭の子トラがいて、
この4頭は、今から川の反対側の岸に移ろうと思っています。
この川は意外と深くて流れも速いので、お母さんトラは
1頭ずつ子トラを背中に乗せて、川を渡ることにしました。
ところが、子トラのうち1頭(仮にAとします)は
たいへん凶暴で、お母さんトラが一緒にいてあげないと、
暴れ出して他の子トラ(B,C)を傷つけてしまいます。
さて、4頭は無事川を渡ることができるでしょうか?
お母さんトラに、どのような順番で子トラを
連れていけばうまくいくか、教えてあげてください。
→→→→→[解答・解説]
問題文に「教えてあげてください」と書いてしまいましたが、
・・・一応、人間の言葉がトラに通じることにしますね(汗)
この問題の最大のポイントは、もちろん子トラAを
他の子トラと一緒にしないことですよね。
例えば、もしお母さんトラ(以下「母トラ」)が
最初に向こう岸にBを連れていくと、岸に残されたAが
Cを傷つけてしまい、無事ではなくなってしまいます。
このように考えると、最初に母トラが向こう岸に
連れていってよいのは、Aでしかありえません。
そこで、母トラがまずAを向こう岸に連れていき、
戻ってきたあと、残った2頭のうち1頭
(どちらでも良いのですが、ここでは仮にCとします)を
向こう岸に連れていった直後の状態までを考えましょう。
すると、下のようになります♪(右が向こう岸です)
$母ABC|〜〜〜|
$ →母A
$ BC|〜〜〜|母A
$ 母←
$ 母BC|〜〜〜|A
$ →母B
$ C|〜〜〜|母AB
・・・問題はこのあとです。
先ほどと同じように、母トラが1頭だけで元の岸へ戻ると、
残されたAがBを傷つけてしまいますよね?
・・・そこで、どうしなければならないかというと、
母トラはここで一旦Aを連れて元の岸へ帰るのです♪
$ C|〜〜〜|母AB
$ 母A←
$ 母AC|〜〜〜|B
$ →母C
$ A|〜〜〜|母BC
$ 母←
$ 母A|〜〜〜|BC
$ →母A
$ |〜〜〜|母ABC (成功!!)
途中、母トラが元の岸と向こう岸の間をウロウロしたり
することを除けば、3頭を向こう岸に連れていく方法は
ここで示した手順になり、母トラは計7回川を渡ります。
普通に3頭を向こう岸に連れていくよりも2回多く
川を渡らなくてはなりませんが、自分の家族を守るためには
人知れず(?)苦労しなくてはならないようです・・・。
→→→→→[参考]
特にこういう問題を解くのが初めての人にとっては、
後半部分を考えるのが少し難しいと思いますが、
このとき、知っていると大事な手がかりが見つかって、
さらに問題によっては試さなくてはならない手順が
大幅に少なくなることもある、ちょっとしたコツがあります。
***「逆から考える」
・・・このテクニック、意外と知られていないのですが、
例えば今の問題で、最後の1手を逆から考えてみてくれますか?
そのとき、向こう岸には2頭の子トラが待っていて、
母トラが最後の1頭のトラを連れて向こう岸に渡ると
「成功!!」となるわけですが、もし待っている子トラが
AとB(もしくはAとC)であればどうでしょう?
・・・喧嘩しちゃいますよね!
まあ言われてみれば当たり前なんですが・・・。
ということは、母トラが最後に元の岸から向こう岸へ
連れて渡るのは、Aの子トラでなくてはなりません。
・・・そして、これを上の解説で言う「前半」の
最後の状態と比較してみると、・・・あることに気づきます。
$ C|〜〜〜|母AB
$
$ ???
$
$ 母A|〜〜〜|BC
$ →母A
$ |〜〜〜|母ABC
・・・そう、いつの間にか、Aが元の岸に戻っています!!
もちろん「いつの間にか戻る」というのは本当はウソで、
母トラがAを連れて向こう岸から元の岸に戻るわけですが、
この「一見ムダな1手」がなければ、この4頭の川渡りは
決して成功しないということが、実は分かってしまうのです♪
さらに、そう考えると、普通の場合の手数5回に加えて
(母トラは行って戻らなくてはならないので)最低で
プラス2回は手数が必要であることも分かり、上の解答の
「7回」が最小の手数だということまで含めて理解できます。
ところで・・・、
こういった「川渡り」の問題は、大昔から人々の間で
繰り返し出題され、また研究されてきた問題です。
実は、今回紹介した母トラと3頭の子トラの話も、
調べてみると中国の古い説話だそうで、日本でもお寺の庭園
(京都の龍安寺・南禅寺など)のモチーフにされています。
筆者はたまたまその南禅寺を訪れてこの話を知ったのですが、
日本人も昔から「算数パズル」を考えていたのかなあと
少々びっくりしてしまいました・・・。
探せば、似たような問題はいろいろ見つかります。
その1つで有名なものを以下にあげておくことにしますが、
上の問題とほとんど同じように考えていけますから、
よかったら「復習」がてら挑戦してみてはどうでしょう?
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問題(初級)の類題
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川の片方の岸に小舟があって、お百姓さんが
「オオカミ」「ヤギ」「キャベツ」の3つをこの小舟で
向こう岸まで運ぼうとしています。
小舟には、いっぺんに1つのモノしか乗せることが出来ず、
お百姓さんがいないところでオオカミとヤギが一緒になると
オオカミがヤギを襲い、ヤギとキャベツが一緒になると
ヤギがキャベツを食べてしまいます。
無事に3つすべてを向こう岸に運ぶには、お百姓さんは
どのような順番でこれらを運べばよいでしょうか?
・・・
まず何を運ぶか、すぐパッと出てくるようになりましたか?
では、最後に中級問題のヒントを出して終わりにします。
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問題(中級)のヒント
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10リットルの油の入った容器があり、
ここから5リットルの油を取り出したいと思います。
ところが、手元には他に3リットルと7リットルの容器が
それぞれ1個ずつしかなく、しかもこれらの容器は
不規則な形をしていて、目盛りなども一切ついていません。
1つの容器に入れた油を他の容器に入れ替えたりして、
5リットルの油を取り出すにはどうすればよいでしょうか?
ただし、油を捨てたりしてはいけません。
→→→→→[ヒント]
この問題も、初級問題と同じように、まず最初の何手かを
考えたのち、同時に最後のほうの手順からさかのぼってみると、
ただ試行錯誤するだけより早く答えに辿り着けるはずです。
※この問題は、10月3日(土)配送分にて解説します。