「河村邦彦の医学部に合格する数学徹底演習(中経出版)」
徒然レビュー
医学部入試で差がつく、やや難レベルの問題を反復練習できる演習書
「河村邦彦の医学部に合格する数学徹底演習」(中経出版)
主に医学部(および難関大学理系学部)志望者向けの演習書。入試標準レベルの問題がある程度解けることを前提に、「解けない漸化式の極限」「不定方程式」など、入試で差がつきやすく、一度きちんと授業を受けていないと取り組みづらい、より高いレベルの問題・解法を中心に扱っている。この出版社らしく表紙カバーにはイラストも描かれているが、中身はなかなか骨太。
医学部に限らず難関大学理系学部の入試で差がつく問題を集中的に約100題収録し、解説している。50ある「例題」では、教科書学習時にはもちろん、演習期に入っても学校・予備校(所属クラス)によっては授業で扱われにくいであろうレベル・内容のものをうまく集めている。さらに、「例題」に1題につき「類題」が1題ずつ付属し、巻末には別冊として模試形式の問題セットも収録されており、総仕上げができる。過去問演習と並行して演習量を増やしたい場合などに役立つだろう。
著者は河合塾講師の河村邦彦先生。答案部分は簡潔に書きあげ、そのあとの「研究」で丁寧に解説するスタイル。そういえば中身は河合出版の演習書っぽい感じがする。類書として「医学部攻略の数学」(河合出版)が浮かぶが、本書も、そちらより荒削りながら、より標準問題に近いレベルの問題の解法を丁寧に解説しているので、バリバリ実戦レベルに達していない生徒さんには選択肢が広がったともいえる。