「史上最強の実践数学公式123(講談社ブルーバックス)」
徒然レビュー
入試標準レベルに直結する『公式』を実際の入試問題とともに収録
「史上最強の実践数学公式123」(講談社ブルーバックス)
学参ではないが、大学受験生にとって有用であるので、こちらでとりあげている。
見開き2ページで「公式」を1つと、とそれを使って解く問題を「応用例」としてとりあげる形式で、基本事項を復習したり、知っているかどうかで差がつく発展事項を学んだりしながら、実際の入試問題に触れられる。著者はセンター試験作問経験者として有名な佐藤恒雄先生。
これまでのいわゆる「公式集」と比べて目新しいのは、「3次関数のグラフの特徴」のようなやや高度なものや、「軌跡の求め方」のように数式の形をしていないものについても、重要なものは「公式」として見開き2ページを割いてとりあげている点、応用例に難関も含めた大学入試問題を積極的にとりあげている点。タイトルどおり「実践数学公式」と呼べる内容に仕上がっている。その代わり、(これもタイトルどおりだが)本当に初歩的な公式は一部収録されていないものもあるほか、教科書的な数学T・A・U・Bの順になっていないこともあり、範囲全体を入試基礎レベルまで押さえた人が対象となる。
「応用例」の収録問題を中心に見ると、教科書レベルの確認問題が半分弱、残りの半分強は入試の標準レベル。定型パターンからはやや外れていて、一度は触れておかないと取り組みづらいものが多いことをプラスにとらえるなら、医学部や難関私大の志望者など、ややマイナーな問題の解法まで含めて網羅的に学習したい受験生には感ずるものがあるかも知れないが、一部であるが収録したい問題から逆算して作ったような、本当に「公式」として紹介すべきか疑問に感じるものも混じっているほか、それ以前に(本のコンセプト上仕方ないが)見開き2ページという中でかなり難しい「応用例」まで進むので、一部解答に分かりづらい箇所があるのは否めない。こういった部分が気になる人にはおすすめできないので、注意しておきたい。