「湯浅のはじめまして数学 T・A/U・B(池田書店)」
徒然レビュー
教科書レベルを少ない問題数で確認できる導入書。表紙には湯浅先生の顔写真が
「湯浅のはじめまして数学」T・A/U・B(池田書店)
教科書の問・例題レベルの代表的なパターンに絞り、コンパクトに導入している。著者は代ゼミの湯浅弘一先生で、高校に入ってからの数学についていけない人、教科書はひととおり終えたが内容はほとんど忘れてしまったという人が主対象の演習書。表紙には湯浅先生の顔写真があしらわれている。人なつっこく、福々しい笑顔が印象的。
見開きごとの構成になっていて、最初に「まずはこの問題を」と問題文が提示されている。その下に、その問題を解くのに必要な基本事項が紹介されていて、右ページにかけて問題の解答・解説、その見開きのまとめと続く。この調子でひとつの分野が終わるごとに、「章末問題」として入試基礎レベルのこれも代表的な問題が扱われている。
おそらくは予備校の基礎クラスの前期のテキストあたりが元ネタと思われる。このレベルの生徒さん相手に、1回90分かそこらの授業数回で「とりあえず分かった気にさせる」ためには、如何に余計なものを省き、如何に短く切ってコンパクトに導入・解説するかが勝負だと考えているのだろう。それはそれでよいのだが、このレベルの本で見開きの最初がいきなり問題文というのはどうか。また、章末の練習問題の選題が分量的にもレベル的にも中途半端で、解説が(本文の問題に比べると)極めてそっけないことも気になった。章末でレベルを上げるならそれでもかまわないが、それなら本文の問題と同じく丁寧に解説して欲しい。