「大学受験 数学T・A(/U・B)技法トレーニング(旺文社)」
徒然レビュー
答えの数値をヒントに解法を考えさせる問題集。演習量を増やす用途向け
「大学受験 数学技法トレーニング」T・A210/U・B247(旺文社)
問題文のすぐ下に答え(数値)は載っているが、解答(答案)は別冊になっておらず本の後半にあるという、変わった構成の演習用問題集。かなり前から発売されているシリーズの現課程版ということもあり、見た目は多少古臭い感じがするが、演習書としての機能性に気を配ったスタイルが目を引く。類書として「Z会数学基礎問題集 チェック&リピート」(Z会出版)が浮かぶが、基礎の確認がメインの「チェック〜」と比べ、本書「技法トレーニング」は問題数が絞られ、より実践的な構成となっているので、使い分けたい。
問題数は数学T・Aが210、数学U・Bが247。主に私大で小問集合として出題される基本問題から、難関を除く国公立大学でメインに出題される標準問題までを幅広く網羅、収録している。問題は、出題テーマごとに10〜20題程度の「CHAPTER」(章)に分かれ、各章の最初には、公式の確認と使い分け方などをコンパクトにまとめた「知識・技法の整理」があり、さらに章によっては「ミニ講義」がつく。ある程度の基礎知識は持っているが、入試レベルの問題になると途端に考えられなくなってしまう人と思われる。
得意分野は問題文のすぐ下の答えで答え合わせをしながらスムーズに進めていけるが、解説はどちらかというとそっけないので、苦手分野は解説の詳しい他書も参考にしながら1つ1つつぶしていきたい。カバーには「解き方をすぐ見ないから考える力がつく!」とあるが、これは本当かどうかあやしいにせよ、出題パターンを「見分ける」ことは大事なので、編集意図を理解し、この本に載っている問題だけでもスラスラ解けるまで練習を積んで欲しいものである。
少々余談になるが、内容的には筆者が当サイト「数学参考書レビュー」を始めて間もない頃に見つけた「数学基本技法演習250」(旺文社)というシリーズが土台になっているはず。私大志望者の直前対策などに向くので薦める機会のある本だったが、21年現在でも(『一体いくつ前の課程のときに発売された本だよ??』と言いたくなるにもかかわらず)書店でたま〜〜に見かける。恐らく、買ってくれる人も少数だろうがいるのだろう。
※11年9月13日執筆分より加筆修正