「基本事項に戻る習慣をつけよう!(総合参考書の辞書的使用)」
参考書の選び方・使い方
職員室にいると、問題集と解答・解説ごと持って来て
***「この問題を教えて欲しいんですけど」
と聞きに来る生徒さんがいます。学校で使う問題集でも最近は別冊解答付きのものが増えましたが、どうもこの模範解答というのはその簡潔さゆえに独特の読みづらさがあるようです。
要は答えを見てもその意味するところが理解できなかったり、なぜそういう解き方になるのか腑に落ちなかったりするわけなのですが、そんなときよく私は
***「授業ではどんなふうに習った?」
と聞き返します。
しばらく話していると、こういう質問の仕方をする生徒さんは
○授業のポイントの押さえ方が身についていない
○疑問点があっても放置してしまう
○自分の頭で考えず、いきなり解答・解説を見てしまう
○解答・解説以外のものを参照しようとしない
のどれかに大抵は当てはまるようです。このうち、上の2つはこれまでの学習姿勢の問題なので、今から参考書の使い方で改めていくのは難しいですが、下の2つについては手持ちの教材の使い方しだいで今からでも十分に改善できます。
・・・差をつけるならやはりココでしょう。
そんなとき、有効活用して欲しいのが、「チャート式」に代表される総合参考書です。例題が幅広く載っているという意味で『網羅系参考書』と呼ぶこともありますが、このタイプの本をただ単に問題集としてしか使えない生徒さんが多く、発行者としては非常にもったいなく思っています。
総合参考書を、よく読んでみましょう。
用語の定義が載っています。
よく使う公式を丁寧に導入してくれている本もあります。
同じような問題を過去に解いたことがあるかも知れません。例題で探してみましょう。
また、数学IIIを学習している皆さんは、たとえば三角関数の微分・積分でつまずいたとき、数学IIで習った「加法定理」などの公式まで戻ってきちんと見直し、周辺の例題を1問2問解き直してみるだけで、理解・定着の度合いが劇的に変わってくると思います。これは発行者自身が高校生のとき痛感したことでもあります。
多くの進学校では、教科書や問題集と一緒に総合参考書も採用しています。学校でもらう本は、自分自身で選んだ本ではないのでレベル的に合わなかったりなど困った点も多いのですが、学校の先生がその中身を知っていて、使っていて分からないところは相談できるというメリットはそれを上回ります。これを有効活用しない手はありませんよ。
ただし、本当に手持ちの参考書が使いづらくて仕方がないこともあります。そんなときは、自学自習でも使いやすい、やや易しめの参考書を選びましょう。特に例題部分を復習用の問題集として使いたい人には「買い替え」を勧めます。
問題を解く用途に重点を置かないのであれば、基本事項自体を丁寧に解説した本を選び、授業の予習・復習に活用していくのも手です。
【初学者〜中級者向け】
○「シグマトライ」(文英堂)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/157.html
○「ニューアクションβ」(東京書籍)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/149.html
【余力のある生徒さん向け】
○「本質の研究」(旺文社)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/171.html