学習の目先を変えたい難関大志望者向け演習書。完成度は「?」
「大学入試 読解数学」(エール出版)
「新感覚で大学受験の数学を攻める」という謳い文句はややハードルを上げすぎのような気もするが、著者(予備校講師)としては解説のしがいがありそうな入試問題をチョイスし、問題文の読解というアプローチから解説している。著者は松井伸容(まつい・のぶひろ)先生。入試の基礎レベルから実戦レベルに急に飛んでしまうところも目につくが、得意分野を生かしているとは思う。
一応、難関大の入試問題を中心に、一般の受験生には(筆者にも:汗)手が出づらい問題を解説している。が、全体としてはややそっけなく、「是非この本で勉強して欲しい」と薦められる程度ではない。特に「読解」とタイトルに入れるのであれば、問題文の1語1語にくらいつくような読み方をして、似た問題とどう違った考え方・解き方をしなくてはならないかとか、そういった部分をもう少し掘り下げて欲しかった気もする。
あと、この出版社だから仕方ない面もあるが、紙面のあちこちに痛々しい部分が見受けられる。特に、ところどころに先生からのメッセージとして似顔絵に吹き出しがついているが、似顔絵部分が、カラーのJPEGとおぼしき画像をそのまま貼り付けているだけなので、JPEG独特の「にじみ」が全ページに出てしまい、汚れたようになっている。それ以外の部分も、恐らくWordの数式エディタまるわかりの数式を、写植(単に画像として貼り付ける)でレイアウトしているだけなので、よく見るとギザギザしているのがわかる。お金をかけて綺麗に作らないとダメとは言わないが、もう少し「気を遣える」余地は全体にあるのではないだろうか。
あわよくば、この本が中経出版かどこかの目にとまり、リメイクしようという話にでもなってくれたら・・・という感じである。もしそんな機会があれば、もう少し問題・解説を補ったうえで、きちんとしたデザイナーさん(?)に紙面を作り直してもらって欲しい。