「【個別アドバイス】数学参考書の処方箋12-06-14」
数学参考書の処方箋
□蔓(かずら)さんからのご質問
水野先生はじめまして。数学の問題集や使う時期、使い方について質問させてください。
私は、大学の経済学部に通っている1年です。高校のころは理系のクラスに在籍していましたが、国語、英語は比較的できるほうで、センター試験・模試では8〜9割を常に取れる程度でしたが、理系科目があまりできず(センター試験・模試は4〜7割程度、数学U・Bは4割程度)、理系の学科はどこにも受かるような学力ではありませんでした。そこで、浪人を嫌う親の意向もあり、経済学部に進学したのですが、その後いろいろあり、工学系の仕事に興味がわき、九大の工学部の再受験を考えるようになりました。
そこで他の教科の勉強方針は大体立ったのですが、数学は今の自分の学力では難易度が判断しづらく、なかなかこれでいいのか自信が持てません。今私が考えているのは以下のような計画ですが、九大のレベルからみたらどうなのでしょうか?一応高校のころは「ニューアクションα」(東京書籍)を、テスト範囲だったこともあり、すべて2,3回は解いています。センターで8割、2次で6割を目安としています。
$ 6月〜9月:「1対1」とセンター対策(7:3)
$ 10月〜12月:「理系数学 入試の核心」(Z会出版)とセンター対策と赤本(5:1:4)
$ 1月上旬:センターと数V・C(「入試の核心」と赤本から)(8:2)
$ 1月中旬〜本番まで:「入試の核心」と赤本(5:5)
上記の問題集・参考書はすべて何週もするつもりです。あと勉強の仕方は、「解く→わからなかったら理解するために丸写し→理解できたか確認するために答えを見ずに自分で解いてみる」という風にやっていますが、これで力がつくのか少し不安です。
私が、問題を間違えたときは、解答を読めばわかるけど、ひらめきはしない。という傾向(?)が強いです。もっと基礎に重心をおいたほうがいいとか、これをやる時期はもっと早い(遅い)ほうがいい、こんな勉強法があるなど、アドバイスがございましたらぜひお願いします。
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□蔓(かずら)さんへの回答
理系学部に進学したかったのに数学がネックになってしまったということですが、筆者自身も受験生時代に数学はなかなか結果が出なくて間際までヒヤヒヤさせられましたから、なるべくお気持ちを分かって差し上げようと思っています。
ある程度の志望・到達度を考慮し、かつ数学は足を引っ張らない程度で良いという前提ですが、概ねそのような計画で大丈夫だと思います。蔓さんは発想力という面を心配されているようですが、センターでの点数などを見る限り、今までの段階で力がついていない原因は、数学U・B分野の演習不足と、それが数学V・C分野(特にV)に響き、基本事項が未消化のまま終わってしまったことだと思われます。そこで、「1対1」と並行しながら、とりあえずは教科書レベル程度で構わないのでV・Cの基本事項を早めに復習してはどうでしょうか。
一度は学習したことのある人なら、計算練習を通じて数学V(および数学Uの関連分野)の復習をするのが良いと思うので、例えば
○「カルキュール[基礎力・計算力アップ問題集]」数学V・C(駿台文庫)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/45.html
のような本を、1日あたりに取り組む問題数を決めて解いていきながら、理解不十分と思われる内容があれば、面倒でもその都度教科書や「ニューアクションα」に戻って見直したり解き直したりしていってはどうかと思います。
あと、「1対1」の後に「理系数学 入試の核心」を使われるということですが、このシリーズには標準編と難関大編があり、前者は「1対1」とレベル的に重なるところが多いと思いますので、その順にやるとしたら
○「理系数学 入試の核心 難関大編」(Z会出版)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/330.html
になります。できれば、書店で実際に内容を見てから買うようにしてください。
最後に「発想力」ということについて言うと、タイトルにそういうものを謳った本として、例えば
○「佐々木隆宏の数学の発想力が面白いほど身につく本」
→
http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/623.html
○「大学への数学 解法の突破口」(東京出版)
→
http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/298.html
などがありますが、この手の本は使用者のレベル・求める内容とマッチするかどうか微妙なところが多く、好き嫌いもあると思います。一応、この2つで言うと前者は一般の受験生向けですが、その分、難関大の入試では標準問題の部類に入るような問題の解き方の反復のような内容も入っています。後者はさすが東京出版と言うべきでしょうか、高度な内容を中心に扱っている分、理解してなおかつ実践できるようになるには相当の努力を要するはずです。
冒頭でも一部言いましたが、数学を得点源にしなくてはならない等の事情がなければ、特に今の時期(夏休み前、もしくは数学U・Bまでにつまずきが見られるうち)は、最初に立てた計画を守りながら基礎固めに専念しつつ、そのうえで本当に手が出ないレベルがどのあたりかを見極め、苦手対策と並行しながらあくまで余力の範囲でこういったものに手を伸ばしていくべきだというのが筆者の意見です。もう少し頑張れば先が見えてくると思いますが、それまではしばらく我慢の時期かも知れません。まずは今できることを精一杯やっていきましょう。
