「【個別アドバイス】数学参考書の処方箋14-08-05」
数学参考書の処方箋
※今回は、受験生をお持ちの保護者さんからのご質問にお答えしております。
□大石隆さんからのご質問
3回目の質問になります。大石です。
# 筆者注:大石さんは、首都圏の中高一貫の進学校に通われる生徒さんの保護者さんです。
# 前回いただいたご質問とその回答は、こちらにありますのでご参考に願います。
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/1759.html
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/1836.html
「白チャート」(数研出版)をほぼ網羅し、数U・Bは「チェック&リピート」(Z会出版)も終了しました。さすがに網羅はきつかったので、本人に解けなさそうな問題を選ばせて、その後はそれを解けるまでというパターンで一周やりました。なかなか解けない問題でも4回目ぐらいで解けることがほとんどでした。でも駿台のセンター試験の問題集をやらせると数T・Aは90弱とまあまあの成績ですが、数U・Bが60ぐらいしか取れません。本人曰く、解く方針は基本的には間違ってはいないとのこと。一定の時間の中で正確に計算ができていないそう。本人がもう一冊問題集をやってみたいとのことなので、河合塾の数U・Bの「マーク式 総合問題集」を購入してやってみることにしています。こちらの方が簡単に感じるそうです。
あと、手元にあるのはアマゾンのマーケットプレースで購入した「短期集中インテンシブ」(Z会出版)の場合の数・確率(標準・発展)と整数の2冊とブックオフで購入した「青チャート」(数研出版)。とりあえず、「短期集中インテンシブ」の場合の数・確率(標準)と整数をそれぞれ毎日一課ずつやらせてみることにしました。
あと『佐々木隆宏の整数問題』も時間があるときに読むようにと渡してあります。半分ぐらいは読んだようですが、この本は前から一通り読んだら、後ろの問題だけのページで問題集として使えばいいでしょうか?
さて、ここからが相談です。親のひいき目かもしれませんが、基礎を徹底して反復学習してきたので基本的な方針は立てることができるようになってきたようです。ただ、志望校の一橋大学の姿はまだはるか遠くです。このあと、どんな教材をやらせて行くのがいいでしょうか?また、いつ頃から過去問や駿台などの予想問題集に取り組ませるのがいいでしょうか?
一橋大を狙うには、センター試験の数学は満点付近の得点を取れるようにして、計算できる科目にしておく必要があると思っています。息子には、できなかった問題を落ち着いてゆっくり解いてみろと言ってあります。それでちゃんと解けるのなら、あとは練習するだけかと思いますがいかがでしょう?
自分の時は、浪人して志望大学のコースで学んでいたので何も考えずに予備校のカリキュラムに従っていたらなんとかなりましたが、何をどれくらいやらせたらいいかについてご指導いただけると助かります。なお、一年前には中3レベルだった英語の立て直しにも時間を使っている関係で数学ばかりというわけにはいきません。
よろしくお願いします。
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□大石隆さんへの回答
例によって、筆者自身、過去に書いたものを読み返しつつ、前々回・前回に何を申し上げてきたか、ふりかえり、お返事させていただいております。
くり返しになりますが、「数学は努力が成果につながるまでに時期を要する教科なので、焦らず継続する」「ある程度難しい問題に取り組みつつ、基礎の見直しもバカにせず行い、かつ双方のメリハリをつける」を基本に、進めて下さっていることと思います。
まずセンター対策ですが、本番で満点を目指す場合に(できれば夏までに)クリアしておくべき課題が「時間を度外視すればすべて解ける」だと筆者は思っているので、数学T・Aに関してはひとまずそのレベルに辿り着いたとお考えください。この調子で数学U・Bもといきたいところでしょうが、そろそろ時期的に、「このまま変化のない演習を続けていって、間に合うのだろうか?」と気になり始めるのではないかと思いますし、センターとはいえ数学U・Bは2次レベルに近い問題も出ますから、このあたりで一旦センター対策は横に置き、記述中心でもう少しレベルの高い問題に触れていくのも手かと思います。
そこで、まずは今すぐ取り組める(であろう)問題集として、
○「国公立標準問題集 CanPass」(駿台文庫)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/1804.html
をあげておきます。最初の回答の際、過去問演習の前段階に取り組む定番書「1対1対応の演習」(東京出版)をおすすめしたのですが、T・A・U・Bすべて揃えると4冊になってしまい、問題数の多い「チェック&リピート」を何周もした後だと、ボリュームに圧倒されてしまうでしょう。また、今注力すべきU・Bと、完成度の高いであろうT・Aの演習量が同じになってしまって効率が悪くなるであろう点も気になりました。そこで、U・Bの定着は「チェック〜」をあと少ししつこくやることにし、その後、T・A・U・Bの内容がコンパクトにまとまり、かつU・Bの問題数の多い「CanPass」で力試しをしてはどうかと考えた次第です。「インテンシブ」との順番は、どちらでも構わないと思いますので、ご本人にお任せします。
最後に、もっと先(秋の終わり以降)に取り組んでもらう、過去問レベルに近い問題集ですが、6月に新課程版が発売された
○「文系数学の良問プラチカ」
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/120.html
が、一橋大の志望者の間では定番のひとつになっているという話を聞きますので、一応紹介しておきます。もちろん、筆者はずっと前からこの本の存在を知っていて、当サイトでもよくオススメしていたのですが、最初に大石さんからご相談をいただいたのは12年8月で、まだまだ基礎の復習と反復練習に重点を置かなければならない(先を見据えづらく、情報が多すぎるとかえって混乱してしまうであろう)時期でしたので、あえて触れませんでした。もうそろそろこういった本を傍らに置いて、「この本の問題が8割解けるようになったら、過去問演習だ」と目標を持たせてもいいのではないでしょうか。そして、特に保護者さんが進捗を管理しなくても、自主的に学習に取り組んでもらえるように、何とかもっていけたらと思います。
大石さんへは、3回目の回答となりましたが、熱心な保護者の方に、指導経験も人生経験も少ない筆者なんぞの持論を展開させていただくのは、どうも慣れず、特に今回は筆が進みませんでした。ご子息が進んで学習に取り組まれるようになり、これが最後となりますことを(笑)、お祈りしております。
