「大学入試 数学T・A・U・B おさえておきたい基礎100+応用100(学研)」
徒然レビュー
授業を受けているように読める入試演習書。1題にページ数をかけている
「大学入試 数学T・A・U・B おさえておきたい基礎100+応用100」(学研)
「基礎トレ編」「うかる編」の2分冊になっていて、2冊とも基本的には教科書の分野別の章立てになっている。収録問題数は100題ずつだが、ページ数は「うかる編」が「基礎トレ編」の2倍以上ある。著者はきさらぎひろし先生。学研からは「やさしい中学数学」「やさしい高校数学」も出されている。
「基礎トレ編」は、問題→解答→その問題で使う基本事項のふりかえりという構成。巻末には「さくいん」もある。忘れている基本事項を思い出したいが、網羅系参考書に戻るのもどうも・・・と思っている人向けか。
メインは「うかる編」だろう。問題→生徒の解答(たまにミスあり)→先生と生徒の会話→先生の解答(/先生のうまい解答)となっていて、先生の解答の前後に重要事項をまとめた「POINT」がある。多少間延びした感じも受けるが、会話調の解説が好きな人や基礎は大丈夫だが模試になると点がとれない人、「生徒の解答」と同じところで止まってしまったり、まったく同じミスをした経験があったりする生徒さんあたりにピタッと「はまる」と面白そう。所々にコラムもあり、公式の証明や発展事項などにも触れられる。紙面の見た目も、今の流行りを意識しているのか、模範解答(と誤答例)に手書き風の字体が使われていたり、本文で重要なところに蛍光ペンで書いたような印がついていたりと、前述の「間延び感」を少しでも和らげようとする工夫も見られる。
欲を言うなら、問題文だけを集めたページがあってもよかった。この手の参考書・演習書(特に「うかる編」)には「全体像がつかみにくい」という弱点もあるので、書店で選ぶときなど、見たい問題がササッと探せないと、分厚さで敬遠されてしまうのでは。さらに、毎度細かいことで申し訳ないが、教科書の分野名「データの分析」を本書では「データの処理」と呼んでいるのが気になった。特に意図がなければ、教科書にならって欲しい。
※20年10月8日執筆分より加筆修正