「大学入学共通テスト 数学T・Aの読解問題が1冊でしっかり解ける本(かんき出版)」
徒然レビュー
「大学入学共通テスト 数学T・Aの読解問題が1冊でしっかり解ける本」(かんき出版)
まずタイトルからして「レビューせねば!」という使命感にかられる。
第1章では共通テスト数学の基礎知識が簡単に(指導者向けでなく、生徒さんにも無理なく読めるように)まとまっており、続く第2章では何題かに絞って読解問題への取り組み方が詳しく書かれている。第3章以降は問題演習を通じた対策で、第3章は「実戦問題」@・Aの問題文、第4章は@・Aの解説→「実戦問題B」の問題文→Bの解説、と続く。@・Aの解説部分は、問題文が再掲され、必要な知識がまとめられたうえで、本当に「読解」にスポットを当て、詳しく書かれており、好感が持てる。他書では、
#「だーかーらー、それは、言ってみれば『元ネタ』の問題に対しての解説だろう!?
# 先生のように初めからその元ネタを知っている人にはそれで良いけど、どうやって
# そこ(その元ネタ)へ行き着くかの部分が、ほとんどの受験生には分からないんだよ!
# そのあたり(行き着きかた)を教えて欲しんだよ受験生は!キーッ!!!」
・・・(すみません、取り乱しました:苦笑)とツッコミたくなるような、そっけない解説も見られるが、本書の解説はそれと一線を画しているのが良い。
ただ、「実戦問題」自体に対しては、注文したい箇所も一部見られる。例えば、出題形式的には「太郎さん/花子さんの考え」を問題文中で紹介し、読ませているのに、それを読まないと答えられない空所が見当たらない箇所があり、結局「普通に」考えても、すべての空所が埋まってしまう。これでは、「〜考え」は読むだけ無駄で、かえって邪魔になってしまう。第2章で「複数の構想には共感力で対応」と述べてハードルを上げて(?)いるからには、その責任(?)もとって欲しいなと思うのは筆者だけだろうか。
帯に「数学U・B」を含めたラインナップ予定が書かれていて「続々刊行!」とあるが、20年11月現在「数学U・B」が見当たらないのも残念。何とか「共通テスト元年」の受験生が直前の対策を始める時期に間に合わせて欲しい。
※20年10月20日執筆分より加筆修正