「データの分析と統計的な推測が1冊でしっかりわかる本(かんき出版)」
徒然レビュー
22年度からの新課程にも対応した、統計分野に困っている人向けの入門書
「データの分析と統計的な推測が1冊でしっかりわかる本」(かんき出版)
基礎固めに向いた、軽めの読み物。講義調参考書の多くはA5判だが、本書は「読み物」を意識してか、一回り小さいB6判になっている。表紙カバーを見ると「データの分析」の文字列の右上と「統計的な推測」の文字列の左上にはそれぞれ「数学T」「数学B」、また帯の下のほうにも「2022年度開始!」の文言があり、「学参ですよ」アピールは十分か。
1テーマが数ページで完結していて、用語の意味なども含めた「そもそも何を学習するのか」といった部分を噛み砕いて説明してくれるもの、教科書に出てくる(新たに加わる内容については、出てくるであろう)代表的な例題の解法を、長くなるものは「手順」に分けて丁寧に解説してくれるもの、などなどあるが、いずれもちょっとした空き時間などに取り組めそう。
著者の佐々木隆宏先生は、現在は大学教員(数学教育学)。何故予備校講師から転身されたのかも「はじめに」で述べられている。ちょうど、そのあとに本書の学習手順が書かれているのだが、合計3回、順に「なんとなく」「計算しながら」「自己説明しながら」読むという部分は、本書に限らず非常に参考になる。
さて、本書を読むべきなのは何といっても、この分野の授業に時間をとってくれない(にもかかわらず、模試の直前とかになるといきなり同レベルの問題が宿題になるといった・・・汗)学校に通う生徒さんであろう。その状態でいきなり解説を読んでも理解できないだろうが、かといって教科書に戻っても、どこに何が書いてあるかすら分からない状態ではどうしようもないから、そこで(模試があると分かればその2週間前ぐらいにアマゾンで注文すれば、良い時期に届くだろうから)前もって本書をザッと読み通し、それこそ「なんとなく」で良いから全体像を頭に入れてから問題に取り組んで欲しい。