皆さんが参考書で自学自習するときの悩みの1つに
***「買ったはいいけどこの本、全部終えられるかな?」
ということがあると思います。筆者自身も同じ経験があって、当メルマガで本を薦めるときは分量の多くないものを優先して薦めるよう心がけています。
ただし、良い問題を多く収録している本や、情報の多いいわゆる「定番書」に関しては、使いやすさよりも学習効果・バランス・網羅性などのメリットを優先することがあります。さらに、皆さんがすでに何か教材を与えられているなら、それを少し工夫して使って効率よく進めていければ、新たに教材を増やさずに済むということも考えられますね。
要するに取り組む問題を「間引く」わけですが、悩んだだけで結局1問も外せなかったでは具合が悪いし、逆に間引きすぎて重要な問題・解法を見過ごしてしまってはどうしようもありません。
悩みすぎることなく取り組む問題を選びながら、バランスよく進めていければ申しぶんないのですが、今回はそんな中でも定番と思われるテクニック(?)をいくつか紹介することにします。
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□問題の種類別で選ぶ
例題だけやるとか、逆に例題は参考程度にして下の類題を中心に取り組むとか、「章末問題」や「レベルC」をとばすとか、いろいろな方法がありますが、これが最もオーソドックスな方法でしょう。
さらに、たとえば例題でも「基本例題」「応用例題」のように種類別に分かれているものがあります。たとえば教科書学習後なら、応用例題・重要例題などといった呼び名のものを中心に取り組むというのが典型でしょう。間違えたときも、たとえば基本例題だけはその場で必ずやり直して完璧にするが、応用例題はどうしてもわからなければ後回しにするといった工夫だけで、トータルで悩む時間がだいぶ減らせると思います。
教科書学習後の練習用に使う「シグマトライ」(文英堂)、発展演習用の「1対1対応の演習」(東京出版)などがこの使い方に適するでしょう。
ただし、このやり方で効果があがるのは、元々の本自体がかなり使いやすく、レベル的にも合っている場合に限られます。また、例題と類題の内容に開きがある本でこれをすると、網羅性も若干犠牲にされてしまいますから注意が必要です。
□難易度マーク・参考書側のガイド等を参考にする
重要な問題につく印、難易度の目安を示すマークなどは多くの本にありましたが、最近は、さらに一歩踏み込んで参考書側でどの問題を解けばいいかまで示している本も多くなりました。
「ニューアクション」各種(東京書籍)には例題どうしの依存関係を表した「例題MAP」があります。これをもとにどういう順番で解けばいいか考えることもできますが、むしろ、解けない問題があったときにどこに戻ればいいかを知るためと考えた方がよいでしょう。
これに対抗してかどうかは分かりませんが、「黄チャート」(数研出版)では、レベル・用途別にどの例題を解けばよいか、章のとびらのページにまとめたものを載せるようになりました。たとえるなら列車の「停車駅表示」のような感じです。
他の本に関しても、難易度や重要度を示すマークを参考に、目的・レベルに合った問題を中心に取り組んで欲しいですが、こういった情報を鵜呑みにし、「外した」問題はまったく見ないという人が多いので、少し注意しておきます。もとより難易度や重要性の判断には主観が入るものであるし、少々難しい問題でも今やっておいた方がのちのち役に立つ場合はいくらでもあります。こういったマークはむしろ、解けなかったときにその場で絶対にやり直すべきなのか、あとでまとめてやり直した方がいいのかなどを判断する目安として考えた方がよいでしょう。
□テーマ・分野で絞る
問題文にタイトルがついている本も多くあります。これをもとに問題を選ぶ方法は、ある程度の基礎知識を身につけたあと、力試しをするときに特に役立ちます。
中でも絶対に活用して欲しいのは「チェック&リピート」(Z会出版)の小テーマ表示です。この本の収録問題は、ほぼすべてが同種の問題数題とセットになって「囲み」に入っていて、その囲みごとに「比例式」「桁数」のようなタイトルがついています。1つのテーマをきっちりやりたかったらその囲みの問題を全部やればいいし、逆に全体像を押さえたければ1つの囲みから1つずつ問題を選んで解いていけば効率よくいろいろな問題に触れられるというわけです。
さらに、「即戦ゼミ 数学頻出問題総演習」(桐原書店)のように教科書と違った切り口から問題を分類した本の場合、節ごとについているタイトルを見て、気になったところを集中的にやっていくとよいでしょう。加えてこの本には難易度表示もありますから、「志望校の頻出分野の、過去問よりやや易しい問題」などのように取り組む問題をさらに絞り込むことも出来ます。
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このように、早めにいろいろな問題に触れたり、逆に1つの分野だけでもいいからしっかり仕上げておくと、残った部分に対しても大体どれぐらいの期間で仕上がるか、メドも立ってきますし、復習の仕方も分かってくるでしょう。
皆さんの学習状況は日々変わっていきます。参考書・問題集を選ぶときは、いざ手を加えたくなったときにどの程度それに「堪える」かを見きわめるようにしましょう。以前に買って置いてある本や学校でもらった本からも、少しの工夫で、多くの有用な内容を引き出すことができるので大いに活用してください。