「坂田アキラの医療看護系入試数学T・Aが面白いほどわかる本(中経出版)」
徒然レビュー
医療看護系入試対策のベース本に最適!板書のような解説に定評あり
「坂田アキラの医療看護系入試数学T・Aが面白いほどわかる本」(中経出版)
中学内容の復習から、医療看護系入試で出題される定番問題まで、数学T・Aの内容を手厚くフォローした、講義調の導入書。帯には「超解説」と書かれているが、著者の坂田アキラ先生のパワーに、多くの生徒さんが引き込まれ、圧倒されることだろう。
少し読めばわかるが、予備校の人気の授業を本というメディアで最大限に再現しようとしているのが最大の特徴。例題を与えておいて、まずは概念的な板書で解き方の概略を説明したあと、こんどは答案作成(清書)に入るわけだが、板書しながらしゃべる内容が答案の右にポンポン出てきて、この手の本が好きな人には本当に楽しく読み進めていける。
「さあ、スタート!」・・・まで紙面に載せる必要はさすがにないと思うが、「・・・をみたさないので不適」を『あ〜あ、ボツだ〜』、「間違いやすいので注意」を『こう書いたら爆死!』など、独特の表現がとにかく目をひく。実際に授業を受けるより楽しいんじゃないだろうか。
しかも、それでいて網羅性も決して低くない。むしろ、合格点が高く少々ややこしい問題でも(教科書や傍用問題集に載っているものは)後回しにできないという、看護系入試の特性をよく分かった配列ともいえる。中学生向けの本によくある方程式の文章題をまとめて扱った章もあるが、こういう箇所の扱いは、自分の志望校で過去に出ているかを見て決めよう。
看護系に限らず、一般の受験生の基礎固めにもぜひおすすめしたいが、一部の公式を証明なしに覚えさせる、三角比の説明が「三角関数」への拡張性に乏しかったりなど数学T・Aのみで受験する生徒さんを前提としている箇所も目立つのでそこは注意したい。
最後に余談をひとつ。筆者が当サイトを開設後、確か00年頃だったと思うが、いろいろと挫折も経験し、閉鎖しようかと悩んでいた時期があった。そんな折、本書の前身ともいえる「看護医療技術系の数学 数T・A必出問題の完全解法」(文英堂)に出会い、「こんな面白く、分かりやすい参考書が、一部の書店のしかも医療看護系の棚にしか置かれていないのはもったいない。是非一般にも認知させなければ」という使命感に目覚め、サイトを維持・継続するに至った。あのとき、坂田アキラ先生の著書に出会っていなかったら、当サイトも、今の筆者も無かったかも知れない。
【参考】旧課程版へのリンク
※06年7月8日執筆分より加筆修正