「力を伸ばす 数学演習U・B(代々木ライブラリー)」
徒然レビュー
理解のあやうい問題を集中的に練習したい中堅大志望者限定?
「力を伸ばす 数学演習U・B」(代々木ライブラリー)
入試の小問から標準レベルの入り口あたりを中心に、教科書学習時には理解が分かれるが、入試では典型題として出題されるパターンにひととおり触れられる演習書。総合参考書の例題にもありそうな問題が6〜7割、確かに手が出づらいかなと思わせる問題が3〜4割程度といったところか。
少し前に出た「力を伸ばす 数学演習T・A」の続編と考えて間違いないが、問題のレベルとしては若干下がって見え、そのためターゲットとなる生徒層もいまいちハッキリしなくなっているが、この程度の問題も入試問題として出題されていることを考えると、私大の文系学部や、地方の国公立大でおとなしめの出題が中心の大学・学部の志望者で、数学U・Bが苦手な人には必要な本なのかも知れない。
出題大学もあまり大したことのないレベルのところが並んでいる中で、時おり「東大」「慶大」などの名前が顔を出すアンバランスさが目をひいた。おそらくは、生徒さんに自信をつけさせるためなのだろうが、この本に載っている問題だけ見て、これらの大学の入試問題を誤解して欲しくない気もする。逆に言えば、その程度で「だまされる」生徒さんが対象の本なのだろう。