「私大医学部への数学T・A U・B(/V・C)(学研)」
徒然レビュー
収録問題のバランスのよい私大医学部対策本。傾向分析に特徴あり
「私大医学部への数学T・A U・B(/V・C)」(学研)
私大医学部の出題傾向を分析し、頻出である「教科書からやや発展した内容」を扱った問題を各分野からバランスよく収録した演習書。医歯薬系・看護医療技術系の受験生向けのシリーズ「メディカルvブックス」の1冊という位置づけ。内容的にはかなり骨太で、このシリーズの中では逆に異色に映る。
まず収録問題を見て、小問と大問のバランスが出題傾向とマッチしている印象を受けた。傍用問題集そのままではない程度の小問と国公立の2次ほどではない大問という通常の学習の進め方では盲点になりやすいこれらのタイプの問題を1冊で演習できる本は意外となく、私大医学部志望者には悩みの種になっていたはずだ。この手の問題はひねればいくらでも違ったものが作れるので「網羅性」という言い方は出来ないが、この本を使えば、本番で目にするのとかなり似た傾向の問題でトレーニングできるはずだ。
さらに目を引いたのが、付属の小冊子「私立医科大・医学部27校出題傾向徹底分析」。学校によって出題傾向や問題の難易度がかなり異なっている点も私大医学部志望者にとっては悩みの種なのだが、この部分もうまくフォローしていると思う。この冊子の中で、著者は「目標は満点」「目標は90%以上」など、変に希望を持たせずにあくまで現実を突きつける辛口のコメントを放っているが、持ち前のパワーで生徒をぐいぐい引っ張っていく(であろう)キャラクターが出ていて好感が持てる。
紙面構成には難があるかも。問題文の文字が小さいうえ、ページ全体が枠で囲まれていて印刷が全体に見開きの真ん中に寄っており、圧迫感がある。直感的にコピーをとるときに困るのではないかと思ったので試しに「伏せて」みたのだが、通常のコピー機だと背表紙をよほど押さえつけないと見開きの中央付近が曲がってしまう。