「センター試験過去問ベストセレクション数学T・A/U・B(駿台文庫)」
徒然レビュー
重要事項を含む問題に絞った分野別編集の過去問集。時間のない人に
「センター試験過去問ベストセレクション」数学T・A/U・B(駿台文庫)
時間がない中で「最後までやり通せる」ことを意識したセンター過去問題集。過去問を分野別に分け、代表的で重要なものを選び収録している。収録問題には旧課程時代のものも含まれていて、これらの問題の演習も手軽に出来るようになっている。
別冊解答に、「セレクションのポイント」として各収録問題の収録意図も書かれていて好感を覚える。著者(講師)が予備校で「結局何をどれぐらいやればいいんですか?」という質問をよく受けるのでこのようなことも書いているようだが、駿台文庫の本で今までこのような記述が入ったものはほとんどなかったはずで、ついに駿台も受験生に歩み寄る(?)姿勢を見せたか!と筆者などは別の意味で感動してしまったのだが。
選題意図についてもう少し詳しく見ていくと、問題は本番で出題される大問番号順の分野別に配列されていて、それぞれの最初のほうではセンターの平均的レベルより易しい問題を通じて基本事項の確認ができ、後半にいくほど概ね難しい問題が出てくるようになっている。もちろん予備知識は得たうえでの話だが、この本だけでもしっかりやり通せば、センター特有の誘導に加えて、煩雑な式の扱いを含む問題、解答時間の短縮を求められる問題にもひととおり触れられるようになっている。また、詳しい解答・解説とは別に、マークの解答と配点の一覧も付いていて、スピードに乗って解いていきたい生徒さんへの配慮も忘れていない。
ただ、せっかく前述したような工夫も見られるのに、問題冊子の目次のページには問題「番号」しか書かれておらず、何番から何番までがどの分野の問題か確かめようと思うと、問題のページをパラパラめくって、右の黒く塗られたところを見るしかない。些細なことだが、明らかに不親切。選題面で時間がない受験生向けを強く意識している本が、こうした機能性の面で足を引っ張られてはいけない。
ちなみに本の内容とは関係ないが、問題ページと別冊解答で使われている字体など雰囲気が若干違うのと、前者に一部文字等の印刷が鮮明でない箇所や汚れのような箇所が見られるのは、前者がセンター試験の実物コピーを抜き出したもので構成されていることが原因と思われる。
【リンク】
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※タイトルに「ベストセレクション」とある本で、センター対策用のものでは
実教出版から発売されている問題集もあります。ご注意ください!
ちなみに、実教版の「ベストセレクション」は数学T・A・U・Bまで1冊、
駿台文庫版はT・AとU・Bが別冊になっていて、ここで区別がつきます。