雄猫「コージ」の物語
「コージのおしっこ被害の巻」
雄猫の「コージ」は、雌猫のクマといつも一緒です。事故で顔に怪我をしており、歯列に異常が生じたためか、食べ方も静かに、少ししか食べません。そのため背中の辺りも痩せこけた感じに見えます。それに対しコージはすごい食欲で「ガツガツ」食べます。クマの庇護のもとで、「食ちゃ寝、食ちゃ寝」ですから、体は大きくなるわ、太るわ。「この世は極楽じゃ」の暮らしぶりです。これに対しクマときたら,いつものようにテレビの上からコージの行動を監視しているか、瞑想にふけっているようです。しかも、クマには申し訳ないのですが、苦味ばしった「夜叉の顔」と言ったところです。
この2頭の猫を見ていますと、猫にも「笑い」があるものかな、と思うことがあります。体では、鳴き声、尻尾、背中など、全身をフルに使って喜びを表します。でも、人のように「ハハハ」とか、「ガハハ」と言った声にしての笑いはないようです。
だが、しかし、雌猫のクマと雄猫のコージを見ていると、心なしかコージの顔は「ニヤケた顔」をしているのです。それと、クマの表情ときたら、意地でも「笑ってやるものか」といった強い意志さえ感じられてきます。コージの奴、心の中では「ククク」と忍び笑いをしているのかも知れません。
さて、このコージですが、魚の飼育用の水槽にまたがり「おしっこ」をするようになったのです。
その当時、青森県の小川原湖で「ヌマガレイ」が釣れていました。「ヌマガレイ」は、気水域から、淡水域で釣れるカレイであり、淡水でも生きて行けそうに思え、水槽で飼育して見たくなりました。
そこで、60センチの水槽を準備し、水槽の上に還流装置を取り付けました。水槽から汲み上げられた水は、水槽の上についた溝の中を勢いよく流れる、汚れた水がろ過されてきれいな水になる仕組みです。そのうえ、流れる水は「チョロチョロ」と心地良い音を出しています。
普通の猫であれば、どんなに心地よい音でも「おしっこ」をする発想が頭に浮かばないか、たとえ、浮かんでも「おしっこ」は駄目と拒絶反応が作動するのが普通の猫だと思うのですが、コージには自制心がありません。水槽の上に上がり匂いをかぎます。どうやら魚の匂いです。すぐ側には、きれいな水が気持ちの良い音を出して流れています。コージの発想は単純です。
「そうだ、しっこだ」とそのような思いしか頭に浮かびません。
「楽しいぞ」。
コージはワクワクする気持ちを抑え切れずに、水の流れる溝にまたがってシャーと出してしまいました。
どうやらコージの「水洗式のトイレ」は家の人に異常が見つかるまで続けられたようでした。小川原湖の「ヌマガレイ」の実験も10日くらいで失敗に終わっております。
次の、おしっこのターゲットは、被害が甚大でした。
ラン科の植物は、通常の植物のように「種を土」に蒔いても発芽しません。細菌などのように培地を作り、その培地の中に無菌的に種を蒔くのが一般的な方法です。
日本の国内に生育している「エビネ」の交雑種を作りたいと思い、「イシズチ」を基にして種子を取り、無菌的なガラス瓶の中で、苗を作る処まで漕ぎ付けました。
次ぎの段階は、この苗をガラス瓶から取り出して、ミズゴケに植え付けます。これによって、外の気候などに慣らし、丈夫な苗を作る工程になります。
長さが60センチくらいの育苗箱に、気を使いながらミズゴケで包むようにして、びっちりと植えました。数にして数百の苗でした。交雑した品種も、寒さに強くて色彩も豊富なものを交配したものでした。
エビネの子苗は順調に生育していたのですが、悲劇は突然、やってきます。育苗箱のエビネの苗が赤く枯れているのです。しかも、3個の育苗箱が全滅でした。3年の歳月と、交配用の花粉の提供を受けた八戸市の吉田山草さんなどに申し訳ないやら、コージの行動に気が付かなかった自分が悪かったのか。この日をさかいにエビネの趣味も力が尽きてしまい、終わってしまいました。
さて、猫の排便は、「タヌキ」などの動物に見られるように、「他の生き物の目に付かない」ところに「溜め糞」として行い,外敵からの襲撃を回避する行動が一般的と思っていたのですが。日本の猫社会にも変化が現れているようです。隠れて排便する必要性など微塵もない。気持ちの良いところならどこでもOkです。
どうやら、雌猫のクマは、「トラ猫」で小型、社交性に欠け、他人になれることがほとんどない、警戒心が強く野性的。典型的な日本猫と思えます。
雄猫のコージは「黒のまだら」で大型、愛想が良く、通園途中の幼稚園児に人気あり。また、コージの方も幼稚園児の声がすると園児の側に行きたがる。野性味など無縁。 例え、「ネズミ」が現れても一緒に遊ぶかも。外国種の混血と思われます。

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