十和田湖のハクチョウに鳥インフルエンザウイルス確認
「養鶏業者やニワトリの飼育者は要注意」
4月29日の「ニュース」で、「十和田湖畔」でハクチョウの死体と衰弱したハクチョウを発見し、検査によって「H5亜型」の「A型ウイルス」であることが判明したとのことです。
かって、「家畜の伝染病の防疫と、野生動物の診療」に従事した者にとっては、「鳥インフルエンザウイルス」の変異も含め、「ヒト」への感染なども重大な関心事であります。
簡単に経過を説明しますと、
4月21日、秋田県小阪町役場からの連絡で「北部家畜保健衛生所」が、「十和田湖畔」でハクチョウの死体3羽と、衰弱したハクチョウ1羽を発見し、回収した。
4月27日の夜、「ウイルスの検査」の結果が判明し、「H5亜型のA型インフルエンザ」であることが特定された。
自然界では、「水鳥」などが「低病原性の鳥インフルエンザウイルス」を保有していることは、すでに知られており、ニワトリへの病原性など、ウイルスの性状について調査中とのこと。
かっては「家禽コレラ」として、学んだものであり、「100%の致死率」の「家禽の伝染病」として恐れられていたものです。
日本では、1925年以来発生を見ていなかったのですが、2004年に79年ぶりに再び発生が確認されています。
(1)「インフルエンザウイルスの分類」
「インフルエンザウイルスの分類は、次の、三つに「分類」されます。
@ 「インフルエンザA型」
A 「インフルエンザB型」
B 「インフルエンザC型」
「インフルエンザB型とインフルエンザC型」は、ヒトだけに感染すると考えられています(最近は、例外的にヒト意外の感染もあるようです)。
「インフルエンザA型ウイルス」は、ヒトだけでなく、鳥類(カモ、ハクチョウなどの水禽類、ニワトリ、七面鳥などの家禽類、インコなどのペット)、ブタや馬などの家畜、ミンク、アザラシ、クジラなどにも感染し発症します。
(2)「ウイルスの構造」での「区分」
「インフルエンザウイルス」はさらに「表面の構造」のよって「細分類」されます。これによって、病原性などを裏付ける重要な鍵となっています。
「インフルエンザウイルス」の「表面にある突起」は、
@ 「棒状]の「Ha」と、
A 「箱型」の「NA蛋白」、
から構成されています。
「Ha」はウイルスが細胞に吸着するために必要なもので、
「NA」は、ウイルスが細胞から離れる時に働く蛋白といわれています。
大事なことは、「A型インフルエンザウイルス」は
@ 「HA」の抗原性によって「1から15(H1からH15まで)」の「亜 型」に分けられます。
A 「NA」の抗原性によって「1から9(N1からN9まで)」の「亜型」に 分けられます。
これらの組み合わせによって「A型インフルエンザウイルス(H5、N1)」のように分類されます。
(3) 病原性による分類
さらに、ウイルスのニワトリに対する病原性の強弱によって、
@ 高病原性鳥インフルエンザ(High Pasogenic Avian Influenza)と、
A 低病原性鳥インフルエンザ(Mild Pasogenic Avian Influenza)
に分けることもあります。
私たちが「家禽ペスト」として恐れていたウイルスは「H5型、H7型」であり、「高病原性鳥インフルエンザ」となります。
また、「鳥インフルエンザウイルス」は、「変異」し易く、「異なった2種」のウイルスが「同じ細胞」、もしくは、「同じ宿主(ヒト、ブタ)」に感染しますと「合いの子ウイルス(reassorutanto)」が出来ることがあります。
例えば、「鳥のHA型」と「ヒトのNA型」を持つ「新しいタイプ」のウイルスが生まれる可能性があります。
いま世界的に問題になっているのは、この「タイプのウイルス」の発生です。
十和田湖のハクチョウから分離されたウイルスは「H5型亜型のA型インフルエンザ」であり、「N型」かどうかは、まだ分かっていないようです(4月29日に「H5N1」の「強毒タイプ」と判明したようです)。
また「H5N1型」の「ヒトへの感染」ですが、「H5N1型のウイルス」に感染した鳥に触れないかぎり「ヒトに感染する危険性は極めて低い」というのが一般的です。 ですから、「死んだ野鳥」などには「絶対」に手などを触れないようにしましょう。

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