白金に多い苗字といえば、青島と池谷ですが、前の号でも紹介した青島隆三氏の「青島家史考」によれば、青島家が白金に住むようになったのは今から四百年ほど前の戦国時代末期といいます。青島家は、戦国最強と言われた甲斐の武田信玄に代々仕えていた武士と考えられています。当時の大井川町は、今川・武田・徳川が入り乱れての戦乱の時代でした。その武田も織田信長に敗れて国へ退きます。しかし、青島家の先祖左衛門尉は白金に残り、一五九五年にこの白金で没したと記録にあります。
藤枝の青島地区は、武田軍の有能な武将であった青島家にゆかりの地名とも言われていますが、藤枝と大井川の青島の関係は、今ひとつ明らかとなっていません。ただ、著者も触れているとおり、戦乱の中で主君を失った青島家の先祖が、敵地(徳川)の真っ只中で生き抜くには、計り知れない苦労があり、その上で青島家の隆盛がもたらされたのでしょう。平和の尊さを感じます。

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