2015/11/13

追い詰められて  

本番には弱いのが私の常。

が、ココらでそれを、打開せねば!!

とうとう帰国日が二日前と追い詰められた私は、その日の午前中に賭けた。


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「Grotta」Priappos 7c


が、やっぱり・・核心部を越えかけて・・・そして取り損ね、5回目のフォール!


流石に挫けるが、背中が治りつつあるクノも、ココで勝負に出る。

やり残した、そして背中の原因ともなった、同じく7cのルートへ。

回復との兼ね合い、そして残された時間で再トライすべく、私たちは一旦「Grotta」を降り、谷を隔てた対岸にあるエリア、「Iannis」へと、スクーターを走らせ、再び登って転戦する。


西向きエリアの「Iannis」には、午後だと日差しが厳しすぎて、人は殆ど居ない。


まずはドロー掛けをして、動きを確認するクノ。

その間にもジリジリと日差しは追ってきて、日陰は殆どない。


日本よりも緯度の高いこの地では、冬の日差しが、ほぼ真横から射貫いてくる。

レストの間、私は半洞窟の減っていく影にへばりついて、この日差しをやり過ごしていた。


集中力を保とうとするクノは、この日差しすら、あまり気にはしていないようだ。


トライ一撃。

お見事でした・・・雄叫びは凄くうるさかったけれども、その気合は、良いものを見せてもらいました。



これは、もう私も、ヤルしかないですね。

そこで再び、「Iannis」を降りて「Grotta」へ移動。


グロッタのある高さまで、歩いて登るだけでも、体が重い・・・

何より午後の「Grotta」内部は、西日がまともに差し込み、風も無くって、うだる様な暑さ。

もちろん高温となる夕暮れ時のこと、この巨大な洞窟の内部には、既に誰も居なくなっている。


汗が吹き出し、体が思うように動かない。

離陸は試みたものの、どうも動きがぎこちない上に手順まで間違え、一旦降りて、風が出るのを待つことにした。


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が、全長40m近くもあるこのルート、ぞして傾斜の強さでは、中間レストも含めればそれなりの時間を要する


陽がどんどん水平線に近くなる頃、もうこれ以上は待てない。

諦めて動き出したけれど、まだ暑い。


核心部の手前で、汗を冷やしてくれる、救いの風が吹き始めた。

が、既に陽は沈みつつある。


長くは休めず、核心部に突入。取った!


更にまだある横移動では、もうどうにも腕が張って落ちそうになる。

なんとか這い上がったレストさえ、早めに切り上げて行かないと、上部では岩が見えなくなってしまうだろう。


だけど、あの、カナディアン娘が上で叫んだ

「オウ マイ ガァーット!トゥ〜マッチパーンプッ」

の、気持ちは、痛いほどよく解る。(実際痛いし)


もう凄まじく腕が、全身の筋肉という筋肉が、パンプ、つまり張って辛い。


最終クリップの流れをよくするため、延長してあるスリングを、クリップしてそのまま掴みかけたほどに、体は傾斜に耐えられず、重力に引っ張られていく。

手の中でスリングを流しつつ「ココで掴んでドウスル!?水の泡だしっ」

と、心に叫ぶ。

最後のどっかぶりの出口。

「あれ?手順間違えた??焦っちゃいかん」

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なんとか戻って休もうとするも、周囲は暗くなってきた


ココで何と、これまではみつけられなかった、頭と肩が引っ掛かるレストポイントを発見!


既に日没は終わり、時間との戦いではあるけれど、焦っても取りこぼす。


体を出しては動きを確認し、そして戻り、「落ち着け落ち着け」呪文を唱えつつもう一度、傾斜の外へ出ていく。


間違ってはいなかった。

慌てただけだ。


よし!これでお終いっ


海岸線に沿って夜景となったマスーリの街が、足元に輝きを増している。


宙を降ろしてもらいながら、自分の力を完全に出し切った勝利に、長く得られなかった喜びの涙が落ちた。


負けて負けて、これじゃ負け犬のまんまお終いだと、何度思ったことか。


悔しくて悔しくて、何度も涙を呑んできた。


やっとそんな自分に、勝つことができた夜だった。



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勝利の祝杯は?

やっぱラムでしょう。







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