2016/6/8

今これからのために考えたい事  

今回の公表を受けて、当事者の名前を明かして欲しいという要望が後を絶ちません。

このような輩に山や岩場では会いたくはない。

その気持ちはわかります。


けれど今回の詳細を表に出したのは、あくまで個人攻撃が目的ではありません。



今や世は、登山にクライミングのブームです。

職業としての山岳ガイドも増加し、以前とは違い、病院の診察時などに職業を訊かれて答えても首をひねられることもなくなりました。

海外では一般的なガイドを雇い山に登るということに、抵抗のあった日本人にも、ガイド登山は受け入られるようになってきました。



山岳ガイドの危機管理のありかた。
サービス業としての倫理観、道徳心。


今回のことをキッカケに、改めて考え直す時期に来ているのではないでしょうか?


登山人口、そしてガイド人口が増えれば事故も増えてくるはず。

これらの事故を減らすために他の登山者の手本となり、そしてお客様へ技術だけでなく危機管理や危険意識といったものを伝えること。

それが山岳ガイドの一使命だと私たちは考えます。

「山岳ガイドという立場」はそれを行う為にこそ使われるべきです。


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もちろん、そういった安全意識も倫理観も持たない山岳ガイドは論外です。

また、今回のような国際ガイドに限らず「山岳ガイド」という資格を飾りのように身に着けて振り回すのも論外です。


しかし今回のことは、個人の問題としてではなくもっと大きな流れで、つまり、このような山岳ガイドが存在することを、同業者である私たち自身の重大な問題として捉えるべきなのだと思います。


彼と同じ山岳ガイドとして、国内の組織が発行する資格を持って働く人は、私たちを含めて大勢います。

その資格を利用して仕事に従事する山岳ガイド。

一人でもそのような悪質な人が所属する組織の資格を、お客様が命を託すに値するものとして、信用してもらえるのでしょうか。

技術があったとしても、人としての倫理観に欠ける人間が所属する様な同じ組織のガイドを、お客様はもちろん、一般の登山を楽しむ人たちが、果たして信頼するのでしょうか?


それと等しく、サポートするメーカーにも責任はあるのかもしれません。
資格という記号に群がるのは、ちょっと違うのではないでしょうか?

そもそも、山岳ガイドにメーカーがサポートする目的をガイド自身も自覚すべきであり、本来サポートされるべきは登山界を牽引できる有能なアスリートであり、山岳ガイドという記号に対してではないはず。


私たちはただの山岳ガイドです。
職業として山で活動する人であるだけです。

立場上独特な資格を有するだけであり、何かの特権を与えられていることはなく、登山やクライミングにおいては一般の人が守るべきルールや行動から逸脱することは許されていないはず。

資格を特権だと勘違いしてはいけないのです。


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そして(山岳ガイドを)選ぶお客様の側も、しっかりと考えるべき時期に来ています。

資格はあくまでも選ぶ目安にしかなりません。


ガイドの資格に上下などなく、ただ職能の範囲で分かれているだけのはず。

たとえ山地里山ガイドでロープを使ったガイディングをしていなくとも、人間的な魅力やはるかに高い安全意識の人もいます。

逆に技術はあっても理念に一貫性のない人や、今回のように資格はあっても両方持たない人だって現実に存在するのです。


ガイドにPL法的なものはありません。

ガイドの商品力の一部である「技術」や、根本的な人としての問題や欠陥があったとしても、なんの表示義務もありません。

つまり自分の身や命を託す以上、雇う側にもある程度の勉強は必要なのです。

山岳ガイドという資格を持った人だからついていけば大丈夫、特別なプロだから何を任せても大丈夫だと、何の疑問も持たないのは危険であり、ある意味ガイドの質を落とすことに繋がります。

そうやって雇う側の目が厳しくなれば「山岳ガイドという商品」は、これから先、もっと質が向上していくのではないでしょうか?


資格に山岳ガイドの優劣があるのではなく、もし優劣があるのであれば、それは山岳ガイド個人の資質と理念にあるといえます。


難しい問題ですが、組織、そして山と岩に係る全ての人たちの間でで、こういった山に入るための考え方やマナーを、まずは向上させる必要があるのでしょう。


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※画像:2016年ドロミテより








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