山行日:2017年3月4日
メンバー:Mar、O石、F見
阿弥陀岳北西稜に行ってきました。
緊張の連続でしたが充実した山行となりました。
<阿弥陀岳山頂>
今回の計画は日帰りで北西稜でしたので、アイスバーンと化して通行止めとの情報がある美濃戸口から美濃戸までの林道の状況が心配でしたが、Marさんのおかげでなんとか美濃戸まで車で入ることができました。
予定通り6:00に美濃戸を出発。
8:20に北西稜に向かう分岐に到着。
視線の先には北西稜のスカイラインがくっきりと見えます。
<左のスカイラインが北西稜>
ハーネス、ワカンをつけて歩きだすと数日前のトレースがあり、ありがたく使います。
しかし、途中でトレースが消え、そこから本格的なラッセル。途中からでも疲れます。
9:10に北西稜の尾根に乗ると視界が開け、赤岳、横岳の西壁が目に飛び込んできます。
<横岳西壁> <赤岳西壁>
右を向くと北西稜が一筋のラインを描くように空に伸びています。
<阿弥陀岳北西稜全景>
ここでワカンからアイゼンに履き替え、装備を整えます。
はじめは気持ちの良い雪稜歩きですが、岩稜が出てきたところで右の摩利支天沢側の岩の基部を歩きます。距離は2P程で必要に応じてロープを出します。我々もロープを出しました。
<気持ちの良い雪稜歩き> <急斜面にロープを出す>
このピッチを終えると第一岩壁に到着します。基部にハンガーボルトが2本あり、ここをビレイ点とします。ここからが登攀のピッチの対象となるようです。この第一岩壁を直登して”股ずりカンテ”を行くルートもあるそうですが、我々は右側に巻きます。
<第一岩壁正面>
1P目(20m)Marさんリード:雪のついたバンドを右上気味にトラバース。終了点は岩の尖った部分にスリングを巻きビレイ。
2P目(30m)Marさんリード:スタート直後が切れ落ちた雪壁で非常に緊張する。途中の支点が無く、脆くて悪い岩混じりのルンゼの登り。終了点はハンガーボルト1本。
<2P目スタート、奥に第二岩壁> <下は切れ落ちています>
3P目(30m)Marさんリード:ルンゼからリッジへ抜ける。途中に古いハーケンがある。リッジに抜けて振り返ると鋭いリッジの”股ずりカンテ”を見下ろす。壮観です。終了点は第二岩壁基部のハンガーボルト2本。
<ルンゼ側にトラバり第二岩壁基部へ> <ルンゼから登ってリッジへ>
<股ずりカンテ>
第二岩壁を登る4P目が北西稜の核心部です。ハンガーボルトから左に巻き、垂壁をあぶみで登るルートも取れますが、我々は右へ巻いて凹角を登るルートを取ります。
ハンガーボルトから凹角直下まで狭いバンドを10mトラバースし、2m上のハンガーボルトからスリングを垂らして4P目のビレイ点とします。
<10mのトラバース>
4P目(20m)Marさんリード:凹角のフェースから後半はハンドクラック。ハンガーボルト4本。Marさんの感想ではクラックの5.7が登れればこのハンドクラックは登れるとのこと。また、キャメロットの青〜緑(#0.5〜3)があったほうが良いとのこと。Marさんも中間にカムをきめていました。私の感想としては、アイゼン・手袋のクラックはグレード以上の難しさを感じました。クラックを登りきると雪稜に抜け、ハンガーボルト2本で終了点が取れます。
ここまでが登攀対象のピッチです。核心を抜けた安心感と目の前の美しい景色に思わず顔がほころびます。
<Marさん4P目リード>
<4P目の凹角>
<4P目の終了点から>
その先は雪稜、岩稜、雪壁の歩きとなりますが、ロープはしまわず、スタッカットとコンティニュアス交えて無人の阿弥陀岳山頂に到着しました。
<最後まで気は抜けません>
下山は北稜を懸垂を交えて下降し、行者小屋で装備を解除。暗くなる前に美濃戸に到着しました。
<北稜の懸垂下降>
装備:ダブルロープ 50m×2本、カム、クイックドロー、カラビナ、スリング
6:00 美濃戸
8:20 分岐
9:10 尾根に乗る
10:20 第一岩壁
13:00 第二岩壁
15:00 阿弥陀岳山頂
16:30 行者小屋
17:40 美濃戸
ブログ作成にあたり、今回の山行をまとめたMarさんのトポを参考にしました。ありがとうございました。
<北西稜からの諏訪盆地>

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