上部岩壁(?)手前までロープを伸ばす。4P目 30m リッジ
上部岩壁の右のリッジを登る。ルート中、唯一残置ピンをみたピッチ。
ルート上の岩はしっかりしているように見えるが、途中で大きな浮石をつかんで落としてしまった。岩壁を抜けその先の雪面に顔を出す小さなピナクルでピッチを切って実質的な登攀は終了。
<3P目 上部岩壁基部まで> <背後が4P目リッジ>5〜8P 緩傾斜帯
そろそろロープを畳もうかと思いつつ登っていたらスタカットのまま登山道まで
抜けてしまった。標高が上がったせいか、はたまた天候の変化なのかわからないが
西風が強まってビレイ中は寒くて仕方がなかった。
終了点(登山道)着 14:40。
<緩傾斜帯> <稜線直下>振り返ってみると、雪稜、岩稜、草付きと変化に富んでいて、
(いろいろなところで書かれているが)もっと登られてよいルートだと思った。
ただ、マイナールートなのでラインやビレイ点は流動的(?)なようで、
参考にしたweb情報のラインと自分が登ったそれで確実に符合をしているのは
4P目だけだった。まあ、こうして自分でラインを読む楽しみが残されているのが
このルートの魅力の一つだと言えよう。
さて、登山道に抜け出たところから一登りすればすぐ頂上なのだろうが
寒いし風は強いしで、はやく下りたい一心から躊躇することなく地蔵尾根を目指す。
途中やたら風が強い場所があって、そこは耐風姿勢を取りながら進んだ。
地蔵尾根の樹林帯に入ってようやく強風から解放され大休止。
行者小屋に16:00着。
この晩は明日登るルートによって泊まる場所を決めるつもりだったが、
GPVを見ると明日も一日中お日様は期待できず、加えて昼前から降雪予報。
今日の寒さが身に染みているので、明日は早めに切り上げようということになって行者泊を決定。
大小さまざまな整地跡から一番平そうなものを選んでテントを張る。
この晩は我々も含めてテント6張。冬の平日で小屋が閉まっていてもこの盛況ぶり。
さすが八ヶ岳 国民の雪山である。
美濃戸 6:00 〜 行者小屋 8:45-9:15 〜 文三郎下降点 9:50 〜 ショルダー左 下部岩壁基部 11:00 〜 登山道 14:40 〜 行者小屋 16:00
3月7日 曇りのち雪
今日は半日ルートの中岳クーロワール右岩稜をささっと登って昼過ぎには帰ろうと
7時にテントを出発。
文三郎の手前でカモシカに遭遇。この日の帰りも美濃戸で鹿の群れに遭遇したりで、
どうやら人が少ない平日は野生動物も大手を振って活動しているようだ。
文三郎を上がり、これまた最初の急登の上部あたりで中岳クーロワールが目の前に
見えるようになったら、今度は右手の急斜面を中岳沢左俣(?)に向けて下る。
下降点で右岩稜をよくよく見たが、ただの平凡な雪尾根というのが正直な印象。
<中岳クーロワール全景>
<TOPO>沢に降り立ったところから少し登り返し傾斜の強い草付きから8時前に登攀開始。
1〜3P目(トポでは2P目まで)はところどころ傾斜が強い雪壁と雪稜。特筆すべきことはなし。トポには途中に凹角というような記述があるが、判然としない。
<出だしの草付き> <3P目>4P目 雪壁〜リッジ
雪壁を斜上し右岩稜のピークからクールワールの抜け口を渡って中岳に続く雪稜を登る。
クーロワールの抜け口を渡るところは露出感が出てスリル満点。
おまけにいったん右岩稜のピークからクライムダウンしなければならないのでリードより
フォローの方が怖いだろう。
このルート、この最終ピッチのためにだけあるようなもので
逆に下部のなんでもなさが最後のピッチのスパイスを際立たせているのかも。

<右岩稜ピークに向かう> <ピークからクライムダウン>
<渡り終えて岩稜を上がる>このルート、わざわざ登りに行くようなルートではないが、入山日に軽く足慣らししたいとか少し時間が余ったとかというときに活用価値があるルートだと思う。隣の中岳クーロワールも短時間で行けるという点で同様の価値を持つが、こちらはクールワールそのものが自然の造形として面白いし登攀的な面白さもあってルートとしての価値はより高いと思う。
さて、終了点からは、阿弥陀方面に向けて何本か尾根を渡りながらトラバース気味に下っていけば中岳沢の一般道に合流できるのだが、今回はせっかくだからと中岳まで足を延ばし文三郎経由で下山した。
<文三郎尾根経由で下山>テントを撤収して行者小屋を後にする頃から雪が舞い始め、GPVの正確さをあらためて認識したのでした。
行者小屋 7:00 〜 取り付き 7:50 〜 終了 10:15 〜 中岳 11:00 〜 行者小屋 12:15-13:00 〜 美濃戸 14:30
以上