ボトムズのTV版はクールごとにほぼ独立したストーリーなので、全体をキャンペーンゲームにするのは無理だと思い、一番面白いと思うクメン編のみに絞ってデザインすることとしました。
2人用ゲームとしてデザインを開始しましたが、当初プレイヤーの立ち位置がなかなか決まりませんでした。片方はゴン・ヌーで即決しましたが、もう片方が問題でした。ご存知の通りカンジェルマンは元々負けることが目的なので、戦争勝利が目標になりません。そこでプレイヤーを秘密結社としてイプシロンの経験値を積ませることを目的としました。しかし、これだけだとブルーATだけを戦闘させれば良くなってしまい、戦争のゲームになりません。
それで最終的には、ビーラー側はカンジェルマンと秘密結社を加味することとしました。カンジェルマンは、戦争に負けることは織り込み済みで、いかに多くの改革反対派を道連れにするかが目的となります。秘密結社は、イプシロンが撃破した敵によって経験値を獲得します。敵の防御力がVPなので、より強い獲物を倒すことが目的となります。
一方のゴン・ヌーは傭兵なので、戦況が進展すればクメン政府へ良い顔ができるため、拠点ポイントをVPとしました。また、PSに関する情報やPS自体を手に入れれば、メルキア軍に好条件で鞍替えできるため、ステージ3,4での情報収集や宮殿戦でのガサ入れでVPを獲得できます。ただし、PSに関する密命を受けているのはカン・ユーのみなので、カン・ユー隊がいる場合のみ、VPを得ることができます。
実際には、両軍の勝利目的が同次元ではないので、同じVPで比較するのは少々無理がありますが、ゲームとして勝敗を決めなければならないので、そこは目をつむることにしました。
戦闘システムについては、一年戦争やラコックの陰謀のシステムを使用すると、大軍相手ではイプシロンが簡単に負けてしまいます。やはりブルーATには鬼神の如く暴れまわって欲しいので、ユニットを1対1で付き合わせて攻撃を行うシステムとしました。この方法だと戦闘解決に時間が掛かるので、時短のために全体のユニット枚数を少なくしてヘックスを大きくしました。それでも宮殿戦などでは、そこそこの枚数同士の戦闘となりますが、最終戦闘ぐらいは多少時間が掛かっても良いかな、と思っております。
キャンペーンクラスのゲームだとATごとの性能差は表現することができませんが、元正規軍兵士から一般人に毛の生えた程度の者までパイロットの技量は玉石混交だと思ったので、ATユニットはA,B,Cの3段階としました。また、ビーラー側より傭兵側の方が、装備、設備、環境など若干有利であろうと思い、少し強くしています。
戦争の動向とは別に、キリコに関する部分を表現するため、当初はラコックの陰謀の様にイベントカードを使うつもりでした。しかし、クメン編はあまりストーリーの分岐が無いため、カード式はやめて状況によるステージ式にしました。
本作では、ステージ4・フィアナ観戦でのみ分岐が発生します。イプシロンがキリコを倒して、キリコが死んだとフィアナが思い込んだ場合に、ステージ7に移行します。(キリコは異能生存体なので、実際には死亡せずに行方不明となります)
ステージ5でブルーATが退場しますが、これはイプシロンが宮殿に連れ戻されてストライクドッグの到着を待っている状態を表しています。
また、ステージ6でキリコユニットが登場しますが、これは傭兵側に加勢するのではなく、イプシロンがキリコを探し当てたことを表現しています。そのため、キリコがイプシロンを倒した場合は、戦闘を継続せずにボローを探して立ち去ります。
移動や対応などで、両軍の特色を出すため、ルールを少しずつ変えています。また、ステージ3,4では、PS捜索による傭兵側のVP獲得があるため、ビーラー側はスタックの布陣に、また傭兵側はカン・ユー隊の扱い方に、それぞれ工夫が必要になると思います。
以前から宣伝していたボトムズのキャンペーンゲームが形になって、内心ほっとしています。
ボトムズでは戦闘級とキャンペーン級の2つをゲーム化しましたが、まだやってみたい切り口があるので、いつか形になったらお目に掛けたいと思います。いつになるかは分かりませんが、長い目でお付き合いください。

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