今日はひょんなことから、エルパソに出張に来ている日本人サラリーマンとお茶することになった。
彼は、3ヶ月ほどテキサスに滞在し専門的なことを学んだ後、その道のエキスパートとして日本で研究を続けていく立場の人だ。
こちらに滞在している日本人のほとんどがエンジニアや管理職として、日本企業から出張してきている人だ。もしくは家族がこちらに住んでいて、それを頼ってきている人など。そんな彼らからみれば、身内も知り合いも全くいない中で「どうしてエルパソに来たのか?」と私のことを不思議に思ってしまうようだ。
けして治安が良い訳でもなく、都会でもないので不便なはずのこの町にどうしてやってきたのか?
日本人だけではなく、おおよそ現地に住む人たちはまるで挨拶のようにきまって尋ねてくる。
私にとってこの町を選んだ理由は明確ではない。ただ、日本人が少なくて、ニューヨークとは違った文化で、かつ物価の安いところで最初の3ヶ月間を過ごそうと思っただけなのだ。そして私のエージェントが薦めてくれたのがエルパソとフロリダのフォートローダデール。どちらにしようか少し迷ったが、フォートローダデールはセレブ達が好むリゾート地ということで、不思議と私のなかでは冷めてしまった。
アメリカの地図を見ると、カリフォルニアやニューヨークなどの都市部はほんとうにわずかで、そのほとんどが田舎だということがよくわかる。都市部で過ごしたからといっても、それはあくまでアメリカのほんの小さな小さな一部であり、そのほとんどを占める田舎で過ごすことが本当の意味でのアメリカ文化を知ることなのではないか?なんて、今となっては思っている。
しかし、エルパソはさらに特異な町。人口の80パーセントがメキシコ系の移民ということもあって、ここはアメリカじゃないのでは?と思ってしまうことが多々あり。公用語も英語とスペイン語の2カ国語だし、バスのユーザーたちのおしゃべり声はスペイン語ばかりだ。
日本を離れた直後は「何となく」でたどり着いたエルパソも、今となってはかけがえのないふるさとになりつつある。この町の市民として過ごし、この町にとけ込むと、まさに「住めば都」。今日であった彼ともそんな具合に話が弾んだのでした。

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